球界屈指のヤングスターへの風当たりが強まっている。

　去る現地時間８月12日、MLBコミッショナー事務局は、サンディエゴ・パドレスのフェルナンド・タティースJr.から筋力増強剤「クロステボル」の陽性反応が検出されたとして、80試合の出場停止処分を科した。

　当人は声明の中で「白癬（皮膚糸状菌によって発生する感染症。水虫などが当てはまる）の治療薬に禁止薬物の成分が含まれていた」と釈明したが、今季開幕前にバイク事故で手首を故障した23歳の行動は軽率と言わざるを得ない。

　そうしたなかで、かつてボストン・レッドソックスなどで活躍した父は愛息子に対する非難の声を一蹴した。母国メディア『The Midday Show』でフェルナンド・タティースSr.は、次のように語っている。

「ジュニアに陽性反応が出たものは、第一に筋肉を増幅させるようなものではなく、試合で優位になるようなものではない。彼はお粗末な散髪が原因で真菌に感染しただけで、彼の過ちは内容を読まなかったことぐらいだ。こんな些細なことで選手のイメージを壊したのは間違いだ。ジュニアだけでなく、野球界にとって大惨事になる。何百万人ものファンが野球を見るのをやめるね」
  　メジャーの酸いも甘いも知る父親らしい意見ではある。しかし、息子に情状酌量の余地があるとしたタティースSr.の言葉は、結果的に火に油を注ぐ形となった。元ボストン・レッドソックスの守護神で、MLB通算368セーブを挙げた剛腕ジョナサン・パペルボンは、自身のツイッターで親子への怒りを露わにした。

「パドレスの組織の誰かが、あの親子を黙らせろ。彼は間違いなくアナボリックステロイドを使ったんだ。シニアは何百万人もの人々が野球を見なくなると言っているのか？ それは違うな。『不正行為をしている息子を誰も見なくなる』の間違いだろ。まったく、シニアとジュニアのどっちが馬鹿なんだか」

　パペルボンが呆れたように、理由は何にせよ禁止薬物反応が出てしまったタティースJr.を批判する声は強まっている。その波紋はしばらく広がり続けそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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