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MLBが2024年からピッチクロック強化も短縮効果は5分?…さらなる”時短策”に「故障のリスクを検証してから」との声も<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.12.22

もはやMLBの各球場ではおなじみとなったピッチクロック。これまでは走者なしで15秒、走者ありで20秒だったが……。(C)Getty Images

もはやMLBの各球場ではおなじみとなったピッチクロック。これまでは走者なしで15秒、走者ありで20秒だったが……。(C)Getty Images

 現地12月21日、MLB機構は2024年シーズンからのルール変更を発表した。主な内容は以下の通りだ。

①走者ありの状況でのピッチクロックを20秒→18秒に短縮
②監督やコーチがマウンドへ訪問できる回数を5回→4回に縮小
③一塁への走塁レーン(走者が走ることのできるスペース)を拡大

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 この他、打球がファウルになった後にピッチクロックの計測が開始されるタイミングが変更(これまでは「投手がマウンドに戻った時点」だったが、24年からは「投手に再びボールが渡った時点」に)されたり、投手交代の際の制限時間が短縮されるなど、さらなる試合時間短縮を狙ったルール変更となっている。今季からピッチクロックが導入され、平均試合時間が劇的に短縮(22年の3時間4分→2時間40分)したことを踏まえてのものだろう。

 MLB機構の試算では、上に挙げた変更をすべて総合すると、平均試合時間はさらに約5分短縮されるという。投手たちが慣れてきたこともあってか、今季も9月の平均試合時間(2時間44分)は導入当初の4月(2時間36分)に比べて延びていた。このことも、ルールの強化を後押しした要因だ。
 
 だが、これらのルール変更に対して、MLB選手会は「メリットが少なく、不要である」と反発。さらに「24年はピッチクロックの安全性や、怪我への影響などに関してさらなるデータ収集と調査を行うべきだ」と主張している。

 前述の通り劇的な“時短”に寄与したピッチクロックではあるが、「投手の故障を誘発しているのではないか」という懸念はこれまでにも指摘されてきた。

 その急先鋒とも言えるのが、サイ・ヤング賞を3度受賞した現役屈指の名投手マックス・シャーザー(レンジャーズ)だ。今年11月には2人の医師の見解を引用し、「彼らはピッチクロックが導入されて以降、投手のヒジの故障がより重くなったと言ってるんだ」とその危険性を指摘した。なお、シャーザーが名前を挙げた医師の一人は、大谷翔平(現ドジャース)が9月に受けた右ヒジ手術の執刀医だった。

 今季すでに大幅な試合時間短縮が達成されている現状で、選手の故障リスクを検証するよりも、さらなる5分の”時短”を目指すべきなのか。確かにこれは議論の分かれるところだろう。

構成●SLUGGER編集部

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