デトロイト・ピストンズは、シカゴ・ブルズが最初の３連覇（1991～93年）を果たす前の89、90年に連覇を達成した。彼らは“バッドボーイズ”の異名を取り、NBAを席巻したが、その背景にはあるカラクリがあったと元NBA選手のアリナスは主張した。

　1980年代のピストンズはアイザイア・トーマス、ジョー・デュマース、ビル・レインビア、デニス・ロッドマン、マーク・アグワイア、リック・マホーンらを擁し、ハードファウル上等の激しいフィジカルディフェンスを仕掛けた“荒くれ集団”だった。

　もっとも、ただラフなだけではなく実力も折り紙つきで、88年から３年連続（88年カンファレンス準決勝４勝１敗、89年カンファレンス決勝４勝２敗、90年カンファレンス決勝４勝３敗）でマイケル・ジョーダン＆スコッティ・ピッペン擁するブルズの前に立ちはだかった。

　89年のファイナルではマジック・ジョンソン率いるロサンゼルス・レイカーズ相手にスウィープ勝ち（４連勝）、続く90年もクライド・ドレクスラーが在籍していたポートランド・トレイルブレイザーズを４勝１敗で下し、チャンピオンの座に就いた。

　しかし、アリナスは昨季までNBAでプレーしたパトリック・ベバリー（ハポエル・テルアビブ／イスラエル）がホストを務める『The Pat Bev Podcast with Rone』に出演した際、ピストンズがプロスポーツチームとして初めて導入したプライベートジェットが不公平なアドバンテージを生み、ピストンズの成功を助けたとの見解を述べた。
  「1987年、デトロイトは初めてプライベート機を導入した。彼らが優勝した２年間は、彼らは早く飛行機で移動できた」

　当時ピストンズのオーナーであるウィリアム・デイビッドソンは、87年にプライベートジェット機「ラウンドボール・ワン」を250万ドルで購入。これがチームの移動を効率化させたという。それに対する周囲の反応を問われたアリナスは、このように語る。

「（他球団の選手たちは）みんな嫌悪感を示していたし、『インチキだ』と言っていた」

　バック・トゥ・バック（２日連続）で試合をする場合、通常はホテルで一泊するため、次の試合への準備時間は短くなるが、ピストンズは専用機ですぐに目的地へ向かい、休息と準備のための時間をより多く取れる。これが当時は大きな差になったとアリナスは言う。

「バック・トゥ・バックの場合、その夜はそこに泊まり、次の日の朝に出発する。シャワーを浴びたり、着替えをするためにホテルにより、それから試合に向かう。デトロイトは、ほかのチームよりも先に着いているんだ。彼らは優勝したが、誰もがこう言った。『俺たちにもプライベートジェットが必要だ』とね」

　過去にも、ピストンズの連覇に疑問を呈していたアリナス。その口調はさらに熱を帯びていた。

構成●ダンクシュート編集部

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