米誌『Sports Illustrated』のトム・バードゥッチ記者は現地８月15日、MLB専門ポッドキャスト『Foul Territory』に出演。ワールドシリーズ連覇がかかるロサンゼルス・ドジャースが抱えている欠点を紹介した。

　今季のドジャースといえば、佐々木朗希が右肩インピンジメント症候群、救援右腕ブロック・スチュワートが肩の炎症、同じく救援左腕タナー・スコットが左肘炎症で負傷者リスト（IL）入りするほど投手陣を中心に故障者が続出。歯止めがきかない。すでに戦列復帰したとはいえ、開幕前には先発ローテのタイラー・グラスノー、ブレイク・スネルもコンディション面での問題が取りざたされていた。

　ただし、大谷翔平や山本由伸をはじめ他球団が羨むほどのスーパースターを揃えるタレント集団の実力を疑う声は少なく、戦力が揃えばワールドシリーズ連覇の可能性は十分にあり得るとの見方が強い。

　だがバードゥッチ記者は、常勝軍団ドジャースに異論を唱える。健康面の課題がクリアされたとしても、チームにはまだ懸念材料が残っていると主張。特に拙守が目立つ守備の低パフォーマンスを取り上げた。

　同記者によると、ドジャースは過去６年間で打球をアウトにする割合（DER）でMLB全体２位以内（.709～.729）をキープしていたが、今季はMLBの平均を下回る18位（.696）と大きくダウン。DERは投手のピッチングスタイルや実力、運にも左右されるため、一概に守備陣の問題とは断定できないが、今季のドジャースの守備には勝敗につながる大きな変化があったのは間違いないだろう。
  　実は守備の懸念はシーズン前から指摘されていた。米メディア『The Athletic』のケン・ローゼンタール記者は今年１月に、「ドジャースの弱点は守備かもしれない。ライバル球団の幹部が、そう考えている」と気になる情報を伝えていた。実際、左翼を守るマイケル・コンフォートと右翼手テオスカー・ヘルナンデスは打撃が売りの選手であるが、守備範囲は比較的に狭い。外野手として６度のゴールドグラブ賞を獲得したムーキー・ベッツは今シーズンは遊撃手に転向。ほかにも高い守備力で内外野をこなせるオールマイティーなトミー・エドマンが負傷で今季２度もIL入りするアクシデントがあり、守備が強みとは言えない状況だ。

　守備の乱れがチームの勝敗を左右した場面は８月だけでも複数回、それも大谷翔平が先発した試合で浮き彫りになった。本拠地で行なわれた６日のセントルイス・カーディナルス戦では、三塁手アレックス・フリーランドの悪送球で逆転を許して敗戦。13日にはテオスカー・ヘルナンデスがライトにフラフラと上がった打球を捕球できずピンチを拡大。お粗末なプレーを露呈（記録はヒット）し、大谷はこの回２失点。最終的にロサンゼルス・エンジェルスに逆転負けし、敵地で３連戦スイープを喫した。

　バードゥッチ記者は、ドジャースが今シーズン勝率５割以上のチームに対して負け越している意外なデータを説明。「このチームには何か組織的におかしいところがあるはずだ」とコメントし、ポストシーズンを見据えて厳しい見方を示した。

　ドジャースは７月４日以降で12勝21敗と大きく失速。チームは現在４連敗でサンディエゴ・パドレスにナ・リーグ西地区首位の座を明け渡した。地区優勝に向けてひとつでも多くの白星が重要になるだけに、勝敗につながるような拙守だけは改善したいところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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