有料配信の衝撃発表に波紋が広がっている。

　米動画配信大手『Netflix』は８月26日、来年３月に開催予定の第６回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の日本での独占放送権獲得を電撃発表した。日本戦を含む全47試合を国内配信。過去５大会を放送してきたテレビの地上波では見られない可能性が非常に高まっている。

　大谷翔平（ロサンゼルス・ドジャース）も出場に意欲を示している野球の世界一決定戦。前回大会はテレビの地上波とアマゾン「プライムビデオ」のネット配信で中継され、地上波では決勝の日本―米国戦の平均世帯視聴率が42.4％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）を記録。平日午前帯にも関わらず異例の数字をマークした。特に日本が１点リードした９回表は大谷が指名打者を解除してクローザーとして登板。米国の主将マイク・トラウト（ロサンゼルス・エンジェルス）をスイーパーで空振り三振に仕留めて世界一に輝いた場面は伝説の名勝負とされている。

　日本戦全７試合はいずれも視聴率40％超えを記録したメガイベント。MLB公式サイトからもNetflixの独占配信が正式発表されると、日本国内ではネットやSNSを中心に賛否が沸き上がるほど、大きなトピックスとなった。

　韓国のスポーツメディア『OSEN』も、この話題に興味津々だ。同メディアは「地上波中継できないなんて...NetflixにWBC中継権を奪われた日本の放送会社ら大パニック」と題した見出しを打ち、日本国内の動揺を伝えている。

　同メディアは「世界中のオンライン動画サービス市場を主導するNetflixが2026年WBC中継権を確保すると、日本列島が大きな衝撃を受けた」と報道。大谷人気と噛み合い、WBCへの関心が最も高い日本市場に「黒船（Netflix）が侵略した」と表現。「日本にとっては地上波中継の“消滅”は到底受け入れられない衝撃」として、次のように経緯を簡単に説明している。

「2023年大会はTBSとテレビ朝日が中継権を獲得して地上波で生中継した。今回も共同での中継権契約に乗り出していたが、Netflixが放送権を獲得した。これは高騰した放映権料が理由だった。 前回大会は30億円規模だったが、26年大会はなんと５倍に跳ね上がり、150億円前後に急騰したとみられる。ゆえに、日本国内の放送会社では余裕がない水準での放映権料は資金力が豊富なNetflixが独占契約権を手に入れた」
  　また、WBCを組織するWBCIとともに過去５大会の東京開催試合の運営・興行を担ってきた読売新聞社の声明を引用。「読売新聞は『WBCIが私たちの会社を通さず直接Netflixに対し、日本国内での中継権を付与した』と不快感を示した。同新聞の声明はこれまでの協力関係を無視する怒りの内容だった」と憤りの内容を報じた。

　韓国野球は2008年北京五輪で金メダル、第２回のWBCでは決勝で日本と死闘を繰り広げた。日本同様に韓国国民の間でも野球は関心が高いスポーツである。『OSEN』は前回大会を振り返り、「大谷が出場した侍ジャパンは途方もない人気を集め、WBC興行は大爆発した」と主張。大谷が先発投手としてマウンドに上がったイタリアとの準々決勝が日本の野球中継史上２位の視聴率48%を叩き出した事実を紹介したうえで、「国民の圧倒的な関心を集める日本代表チームの試合を今は地上波で容易に視聴できず、野球人気に暗い影が出る」と人気低迷に懸念を示している。

構成●THE DIGEST編集部

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