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プロ野球

「しっかりヘソの前で捕る」「もっと攻めた守備も」名手・京田陽太に慢心なし。荒木コーチとともに捕球姿勢から見直しへ

小中翔太

2020.02.16

京田は「まだまだ上のレベルを目指しているので全然満足してない」とさらなる成長を誓った。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

京田は「まだまだ上のレベルを目指しているので全然満足してない」とさらなる成長を誓った。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「ナゴドの中日」
 
 本塁打の出にくい球場で、盗塁やバント、また隙を突く走塁で走者を3塁に進め、相手が前進守備を敷いても、叩きつけた内野ゴロで先制点を奪う。その後は、豊富な投手陣と鉄壁の守備陣で打線を封じ、無失点で試合を締める。

 試合全体を通しての安打数では劣っていても、気がつくと9イニングの戦いは制している。全盛期の中日が持ち味としていたのは、ディフェンスを重視した緻密な野球だった。セ・リーグでは、特に阪神がナゴヤドームで辛酸を舐めさせられ、いつからか"鬼門"と呼ばれるまでになった。

 そんな中日伝統の堅守は今でも健在。昨季のチーム失策45は12球団最少、守備率.992はセ・リーグ記録を更新した。

 なかでも内野の要、ショートを守る京田陽太の守備率.985、202刺殺、384捕殺、78併殺は全てセ・リーグの同ポジションでトップだ。同じリーグの同ポジションの選手と比較してどれだけ失点を防いだかを示すUZR(Ultimate Zone Rating)も17.5でリーグトップの数値を叩き出している。

 それでも京田本人に慢心はない。

「昨季の数字だけを見たら良いと思うんですけど、まだまだ上のレベルを目指しているので全然満足してない。エラーが少ないから良いわけではないので、もっと攻めた守備もしていかないといけないと思います」
 
 昨季、記者投票で選ばれるゴールデン・グラブ賞獲得はならなかったが、間違いなく守備力はセ・リーグのナンバーワン遊撃手と言えるだろう。

 年間約600個のアウトを奪った名手は、このキャンプでもさらなる守備力向上に励んでいる。

「しっかりヘソの前で捕るようにしてます。去年秋のキャンプから(内野守備走塁コーチの)荒木さんと捕球姿勢から見つめ直していこうということでやってて、ボールに対して正対する意識でやってます。どちらかというと僕は右足が折れる癖があったので、しっかり股を割ってヘソの前で捕る意識で練習してます。ピッチャーから『ありがとう』と言ってもらえると嬉しいですし、もっとピッチャーに安心してもらえる内野手になりたいなと思います。ショートを守っている以上は、まず守備からリズムを作っていけるようにしたいですね」

 ロースコアのヒリヒリした展開をしぶとくものにするのが中日の野球。京田を中心とした守備陣が今季も投手陣を強力にサポートするに違いない。

 長くBクラスに低迷するチームだが、名実ともにチームリーダーになった京田の想いは1つだ。

「選手会長になったんで、ビールかけの音頭を取りたいなとそこだけですね。そのためにチームに何か貢献出来るよう頑張りたいと思います」

取材・文●小中翔太

【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。

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