トロント・ブルージェイズのトレイ・イェサベージ投手は現地10月29日、ロサンゼルス・ドジャースとのワールドシリーズ第５戦に先発登板。７回104球を投げて１失点、12奪三振、３被安打、無四球、１死球の快投で強力ドジャース打線を手玉に取った。

　イェサベージは昨年のドラフト１巡目（全体20位）でブルージェイズに指名され、今季９月にメジャー初昇格。そこから３試合で１勝０敗（チームは３戦全勝）、防御率3.21と好投した。ポストシーズンでもシアトル・マリナーズとのリーグ優勝決定シリーズ第２戦（4.0回５失点で黒星）以外は全てチームの勝利に貢献している。

　そして今回、わずか８度目のマウンドで、ディフェンディング・チャンピオンを相手に新人離れした圧巻のピッチングを披露した右腕には、仲間からも称賛の声が相次いでいる。

　米スポーツ専門局『ESPN』はチームメイトの言葉を紹介。2023年のア・リーグ最多勝投手クリス・バシットは「彼（イェサベージ）がスプリットを上手く投げられた時、相手チームは『チャンスがない』と悟ると思う。（第５戦は）『しっかりしろ、お前らは大変な目に遭うぞ』って感じだった」と“アンストッパブル”な才能に脱帽した。
  　さらに冷静さについても「ワールドシリーズ第５戦を、精神的に他の日と変わらないものにしたのは彼（イェサベージ）だった。まるで５月のようで、（ストレスなど）何も感じなかったんだ。ただ落ち着いていて、心から自分に自信を持っているんだ」と賛辞を送った。

　そして、通算3489奪三振を記録しているサイ・ヤング賞３度のレジェンド右腕マックス・シャーザーもコメント。イェサベージがニューヨーク・ヤンキースとの地区シリーズ第２戦、５回１／３で無安打無失点、11奪三振、１四球と好投するも、６回途中１死走者なしの場面でわずか78球で降板した際のエピソードを明かした。

「（イェサベージが）78球で降板させられた時、僕は『おい、君がもしマウンドに戻ったら、その状況を切り抜けられたか？』って聞いたんだ。すると彼は『いや、全員三振を狙うよ』って答えたんだ。彼が言っていることは理解できるよ。三振を奪うためにここにいるんだ」

　ブルージェイズに32年ぶりの世界一への大きなチャンスをもたらしたイェサベージ。その２年目が早くも楽しみだ。

構成●THE DIGEST編集部

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