現地11月10日、ナショナル・リーグ(NL)の最優秀新人に、ドレイク・ボールドウィン捕手(ブレーブス)が選出された。
最有力候補と見られていた同捕手には1位票に21人、2位票に9人が投じ、合計183ポイントが集まった。2位はケイド・ホートン(カブス)で、1位票が9人、2位票が16人、3位票が4人で、計139ポイントと健闘した。私もホートンに1位票を投じたので、この場を借りて説明責任を果たしておきたい。
今回は、「最優秀新人投票における先発投手の評価」について熟考した上で、ルールで決められた上位5人に投票した。それは新人王投票で投手と野手を混同して選考することへの違和感がずっと拭えないでいるからだ。
たとえば、「新人」という枠組みを外して「最優秀選手(MVP)」の選出を考えてみた時、投手が選ばれるのは稀である。
過去30年でMVPに選出された先発投手は、2011年のジャスティン・バーランダー(当時タイガース)と、14年のクレイトン・カーショウ(ドジャース)の2人のみ(投打二刀流の大谷翔平の21年と23年は別と考える)。それはよく言われているように、「ほぼ毎日試合に出場する野手と、5日に1回だけ登板する先発投手の価値は違う」という伝統的な考え方に則って投票が行われているからだ。
最優秀投手賞=サイ・ヤング賞が別に存在するのはそのためで、同様の考え方に則れば、ルーキーの先発投手が最優秀新人に選出されるのも、バーランダーやカーショウがMVPに選出されるのと同等に難しい…それが今回の投票の出発点だったとも言える。
実際、昨今の新人投手は、野手に比べると圧倒的な数字を残さない限り、最優秀新人に選出されることはない。肩や肘の故障を心配する球団による投球数及びイニング制限が行われるのが普通で、規定投球回数に達すること自体が珍しいので、その実力を示すチャンスも自ずと野手よりも少ないことになる。 最優秀新人賞に輝いた投手で規定投球回数に達したのは、13年にホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)が172.2回を記録したのが最後で、同投手が24歳の若さで事故死した16年、マイケル・フルマー(当時タイガース)が159回を投げたのが、14年以降の最長記録となっている。ナ・リーグでは20年に救援のデビン・ウイリアムズ(当時ブルワーズ)が、ア・リーグは18年に二刀流の大谷が最優秀新人に輝いたものの、純然たる先発投手の選出は久しく途絶えていた。
その傾向を打ち破ったのが、昨年のポール・スキーンズ(パイレーツ)と、ルイス・ヒル(ヤンキース)で、彼らの成績を次点となった野手=ジャクソン・メリル(パドレス)と、コルトン・カウザー(オリオールズ)の成績と比較すると、以下のようになる。
▼ナショナル・リーグ
・スキーンズ
23試合 133.0回 11勝3敗 防御率1.96 170奪三振 WHIP0.95
・メリル
156試合 24本塁打 90打点 打率.292 OPS.826
▼アメリカン・リーグ
・ヒル
29試合 151.2回 15勝7敗 防御率3.50 171奪三振 WHIP1.19
・カウザー
153試合 24本塁打 69打点 打率.242 OPS.768
それを参考に今年の投票を熟考すると、数ある候補者の中でホートンとボールドウィンのみが1位票に見合う成績を残したと判断するに至った。
・ホートン
23試合 118.0回 11勝4敗 防御率2.67 97奪三振 WHIP1.09
・ボールドウィン
124試合 19本塁打 80打点 打率.274 OPS.810
ホートンがスキーンズやヒルの成績に及ばないのは一目瞭然なので、ボールドウィンが最優秀新人に選出されたことには異議はない。
最有力候補と見られていた同捕手には1位票に21人、2位票に9人が投じ、合計183ポイントが集まった。2位はケイド・ホートン(カブス)で、1位票が9人、2位票が16人、3位票が4人で、計139ポイントと健闘した。私もホートンに1位票を投じたので、この場を借りて説明責任を果たしておきたい。
今回は、「最優秀新人投票における先発投手の評価」について熟考した上で、ルールで決められた上位5人に投票した。それは新人王投票で投手と野手を混同して選考することへの違和感がずっと拭えないでいるからだ。
たとえば、「新人」という枠組みを外して「最優秀選手(MVP)」の選出を考えてみた時、投手が選ばれるのは稀である。
過去30年でMVPに選出された先発投手は、2011年のジャスティン・バーランダー(当時タイガース)と、14年のクレイトン・カーショウ(ドジャース)の2人のみ(投打二刀流の大谷翔平の21年と23年は別と考える)。それはよく言われているように、「ほぼ毎日試合に出場する野手と、5日に1回だけ登板する先発投手の価値は違う」という伝統的な考え方に則って投票が行われているからだ。
最優秀投手賞=サイ・ヤング賞が別に存在するのはそのためで、同様の考え方に則れば、ルーキーの先発投手が最優秀新人に選出されるのも、バーランダーやカーショウがMVPに選出されるのと同等に難しい…それが今回の投票の出発点だったとも言える。
実際、昨今の新人投手は、野手に比べると圧倒的な数字を残さない限り、最優秀新人に選出されることはない。肩や肘の故障を心配する球団による投球数及びイニング制限が行われるのが普通で、規定投球回数に達すること自体が珍しいので、その実力を示すチャンスも自ずと野手よりも少ないことになる。 最優秀新人賞に輝いた投手で規定投球回数に達したのは、13年にホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)が172.2回を記録したのが最後で、同投手が24歳の若さで事故死した16年、マイケル・フルマー(当時タイガース)が159回を投げたのが、14年以降の最長記録となっている。ナ・リーグでは20年に救援のデビン・ウイリアムズ(当時ブルワーズ)が、ア・リーグは18年に二刀流の大谷が最優秀新人に輝いたものの、純然たる先発投手の選出は久しく途絶えていた。
その傾向を打ち破ったのが、昨年のポール・スキーンズ(パイレーツ)と、ルイス・ヒル(ヤンキース)で、彼らの成績を次点となった野手=ジャクソン・メリル(パドレス)と、コルトン・カウザー(オリオールズ)の成績と比較すると、以下のようになる。
▼ナショナル・リーグ
・スキーンズ
23試合 133.0回 11勝3敗 防御率1.96 170奪三振 WHIP0.95
・メリル
156試合 24本塁打 90打点 打率.292 OPS.826
▼アメリカン・リーグ
・ヒル
29試合 151.2回 15勝7敗 防御率3.50 171奪三振 WHIP1.19
・カウザー
153試合 24本塁打 69打点 打率.242 OPS.768
それを参考に今年の投票を熟考すると、数ある候補者の中でホートンとボールドウィンのみが1位票に見合う成績を残したと判断するに至った。
・ホートン
23試合 118.0回 11勝4敗 防御率2.67 97奪三振 WHIP1.09
・ボールドウィン
124試合 19本塁打 80打点 打率.274 OPS.810
ホートンがスキーンズやヒルの成績に及ばないのは一目瞭然なので、ボールドウィンが最優秀新人に選出されたことには異議はない。




