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プロ野球

「2番強打者論」を強烈に打ち出すDeNA打線。新外国人・オースティンが目指すはジーターか、トラウトか

小中翔太

2020.02.23

オースティンはオープン戦で5打数5安打1四球。打率と出塁率は10割だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

オースティンはオープン戦で5打数5安打1四球。打率と出塁率は10割だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 重なる姿はジーター(元ヤンキース)か、トラウト(エンゼルス)か。

 DeNAの新助っ人、オースティンのバットが止まらない。
 オープン戦初戦となった16日の巨人戦で2打席連続本塁打。そして、23日の中日戦では「2番・指名打者」で先発出場すると、すでに開幕投手に内定している中日の先発・大野雄大から二塁打を2本放った。中日と対戦するのは開幕3カード目、順当ならシーズン早々に対戦が濃厚な左腕エースに強烈な印象を植え付けた。

 1打席目は2ボール1ストライクの打者有利のカウントから左中間を破った。第2打席は2ストライクと追い込まれながらも、誘い球の変化球がストライクゾーンに来ると逃すことなくレフト線へ弾き返した。

「ボールを叩くことを意識して試合に臨んでいます。日本での生活は充実しているし、徐々に日本のリーグにも慣れてきている。今は日々のことを常に一生懸命やることを心掛けています」

 第3打席は中日の2番手・柳裕也から四球を選んだ。制球力に優れる右腕も、威圧感を放つスラッガーのバットを警戒したのだろう。

 この活躍ぶりにラミレス監督も太鼓判を押す。

「状態はすごく良いと思いますね。二塁打2本に四球もしっかりボールを見極めてました」

 22日の楽天戦は右肘に違和感を感じたため欠場、周囲を少し心配させたが全く問題なさそうだ。
 
 2番に小技に長けたつなぎ役ではなく強打者を据える打線は、近年のトレンドになりつつある。相手の中日も2番に高橋周平を起用すると、初回に2塁打、5回に2点本塁打と大暴れ。また、前日22日のオープン戦ではヤクルトが2番・山田哲人、3番・青木宣親というオーダーで初回に2点の先制に成功している。

 ヤクルトの高津監督が「普通に打ってくれれば僕の理想とする2番の役割を十分果たせる。青木の前に(山田)哲人を置くのがミソというか1つのキーになる」と話していたが、昨季のセ・リーグの覇者・巨人も坂本を2番に起用。40発を放ったチームの顔をいち早く打席に立たせることで相手先発の立ち上がりを攻め機先を制する戦いぶりでペナントレースを制した。

 そうした「2番強打者論」が浸透しつつあるが、ラミレス監督もこれを強く意識している。昨季は本来4番を打つ筒香嘉智(レイズ)を35試合で2番に起用するなど、メジャーに近い「2番最強打者」打線を組むこともあるのだ。

 オースティンのオープン戦成績は5打数5安打2本塁打の3打点1四球、打率と出塁率は10割でOPSは驚異の3.600だ。今後の打順についてラミレス監督は「今のところそこで調子良いのでしばらくそこで使おうと思ってますけど、今年ずっと2番で行きますとはならないとは思います」と明言を避けたが、かつてのヤンキース打線を支えたジーターやエンジェルスのトラウトのように、今季のDeNA打線は「2番・オースティン」が攻撃の要となるかもしれない。

取材・文●小中翔太

【著者プロフィール】
こなか・しょうた/1988年1月19日生まれ。京都府宮津市出身。大学野球連盟で学生委員を務め裏方の道へ。関西を中心に活動しウェブ媒体や雑誌に寄稿する。
 

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