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侍ジャパン

菅野智之も「バンバン投げる」 キャンプ終盤に聞こえてきた「高めを使う」の声に、捕手陣の見解は?「日本で言う普通の高めでは…」【侍ジャパン合宿レポート】

氏原英明

2026.02.26

17年大会以来の参戦となる菅野(左)。高めのボールを「バンバン使う」と語っていたという。(C) Getty Images

17年大会以来の参戦となる菅野(左)。高めのボールを「バンバン使う」と語っていたという。(C) Getty Images

 多くの投手が口にし始めた。ただ、それは多くの誤解を生むかもしれないことであるとも思った。

 侍ジャパンの宮崎キャンプが終了した。ダルビッシュ有選手(パドレス)をはじめ、菅野智之(ロッキーズ)、菊池雄星(エンゼルス)といった3人のメジャーリーガーが参加した今年の国内合宿はこれまでにない華やかさがある一方、様々な知識の共有が行なわれた場所にもなった。
 アドバイザーを務めたダルビッシュが投手陣を中心に知識の共有を行ない、たくさんの引き出しを見せた。一方、打者陣もまたそれぞれの「打撃理論」をぶつけ合った。

 取材していても新鮮にも聞こえることも多かったが、キャンプ最終盤になって、投手陣から耳に聞こえてきたのが「高めのボールを使う」という意思表示だった。

 ピッチャーは低めに意識するもの。日本の野球界ではそう信じてきたが、ここ数年は高めを使うことの重要性が囁かれている、「合宿に来たからではなく、オリックスでも高めを使うようにしている」。そう語ったのは若月健矢(オリックス)だったが、実はアメリカでいうところの「高め」とは日本の野球が想像するよりもさらに上をいくようである。

 前回大会に続いての出場になるベテラン捕手・中村悠平が証言する。

「バッターのレベルが高くなっているので、高めは長打のリスクがあると思うんですけど、そこも投げていかないと抑えるリスクも抑えられないところがあると思います。ダルビッシュさんがいっていましたけど、高めと言っても、もう一段上のことですね。日本でいう普通の高めが外国人選手に取ったら絶好球で、その上くらいでも振るしストライクゾーン自体が高いので、そこを投げないといけないということです」

 日本の投手の多くは落ちる球を得意としている。そうなると高めを意識的に使うことによって目線を変えることもできるわけだから、バッターを混乱させることにもつながる。中村は菅野からも「バンバン高めを使う」と言われたそうで、その徹底は必要になるだろう。

 とはいえ、リスクを伴うところもある。投手の考える高めと捕手の高めをどう擦り合わせるかというところだ。リードする捕手たちは投手たちの「高め信仰」をどう考えているのだろうか。

 坂本誠志郎(阪神)はこう話す。
「高めについては投げれる、投げれない、ピッチャーの特徴とか、いろんなことを加味しないといけないと思ってます。高めに投げればいいということではなく、バッター、つまり相手がいることですから凝り固まった考え方はあまり好きじゃないので、柔軟に対応していけたらと思います」

 メジャーなどではデータとして高めの有効性は出ているという。以前に菊池雄星から聞いた話では、スイングスピードに関しては高めの方が距離が取れないために、少し落ちるそうだ。低めの方がスイングスピードが出やすく、だからこそ、メジャーでは高めに要求することが増えている。

 坂本の意見は日本人捕手らしいもっともな意見だろう。投げていく中で、どう判断していくかというのが、短期決戦では求められていく。

 中村はこうまとめる。
「高めを使うことは有効だと思います。やっぱり落ち球とか奥行きの変化とかってすごく有効だと思うので、それを生かす対の球にはなるんじゃないかなと。目線を変える意味でも本当に大事な球かなと思いますけど、ただ、ピッチャーによっての使い分けは必要になると思います。低めを狙って高めにいったまっすぐがいいっていうピッチャーもいますし、わざと高めに真っ直ぐを投げると球が弱くなっちゃうっていう投手もいるんですよね。その辺はピッチャーによって使い分けないといけない。それも投手には聞いたりしてたんですけど、高めは使った方が確実にいいと思いますね。その一球をその次の一球に生かしたりとか、次の打席に生かすってこともあり得るので大事かなと思います。今は日本でも高めを投げるピッチャーが多いし、菅野さんもさっき『バンバン投げる』って言ってましたし、そういう風に強打者と対戦する時っていうのは、目線とかを変えていかないと厳しいんじゃないかなと思います」

 大勢、高橋宏斗、伊藤大海は高めを意識した練習を始めている。合宿でも評判になった種市のスプリットは高めのストレートでさらに生きるだろう。藤平尚真もスプリットの使い手だし、逆に、ダルビッシュから「メジャーにはいないタイプ」と独特な位置から腕を振る松本裕樹のストレートも高めこそ生きるだろう。

 彼らを生かすのは捕手のリード次第だ。三者三様の日本を代表する司令塔たちがどのように生かしていくのか、「高め」が一つの注目ポイントになりそうだ。

文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園は通過点です』(新潮社)、『baseballアスリートたちの限界突破』(青志社)がある。ライターの傍ら、音声アプリ「Voicy」のパーソナリティーを務め、YouTubeチャンネルも開設している。

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