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プロ野球

混沌とするヤクルトの遊撃手争いを制すのは?「見えてきた」と連呼する西浦直亨も有力候補に

山本祐香

2020.03.01

「やり方が見えてきました」という西浦のアピールに注目だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

「やり方が見えてきました」という西浦のアピールに注目だ。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 2014年、神宮球場での開幕戦。
 8番ショートでスタメンに抜擢されたヤクルトのルーキーは、1回裏に回ってきたプロ初打席で初球をレフトスタンドへ運んだ。プロ野球史上初の快挙となる華やかなプロ野球人生の幕開けだった。

 その選手――西浦直亨が、次に開幕戦でスタメン出場をしたのは17年、ポジションはサードだった。

 ヤクルトはここ数年、ショートのポジション争いが激化しており、華々しいデビューを飾った西浦もそう簡単にレギュラー定着とはいかなかった。それでも18年は、開幕スタメンこそ廣岡大志に譲ったものの、ショートでの127試合を含む138試合に出場した。

 昨季は開幕3戦目からスタメンに定着したが、2度の故障で44試合の出場にとどまり、不完全燃焼でシーズンを終えた。

 7年目のシーズンを迎える今年は、ロイヤルズ時代の2015年にゴールドグラブ賞を受賞したアルシデス・エスコバー(ホワイトソックス傘下3A)も加わり、ショートのポジション争いはより厳しくなった。

 森岡良介内野守備走塁コーチも、春季キャンプ中に「エスキー(エスコバー)が入って、みんな刺激を受けていることは間違いないです。開幕スタメンは今のところ、横一線ですね」と話しており、今年も開幕直前までもつれると予想される。

 どんなライバルが出現しようとも、西浦は目の前のやるべきことをやるだけだ。

「毎年競争ですから。まずはチームが勝っていくことが大事。そのために自分がしっかりレベルアップして、試合に出られるようにオープン戦でアピールしていきます」
 
 そんな西浦のことを周りのスタッフは「今年の西浦は一味違う。急に大人になったというか、しっかりとした雰囲気になった」と言う。もともと、やる気が前面に出る選手ではなく、どんな思いを内に秘めているかも見えづらかった。それが、目に見えて精神面の成長が感じられるというのだ。

 自身にもその自覚があるのか確認してみると「この先もこの世界でやっていくので、6年間でちょっとずつ『こうしていった方がいいのかな』というのが見えてきて、それができてきたのかなと思います」と答えた。

 今年の1月、昨年に続き参加した青木宣親の自主トレでも、得たものがあったようだ。

「去年あったことにプラスしてやってきた中で、発見したことや疑問に思ったことを聞いたり見たりできたことで、『どうしていったらいいのか』というやり方が見えてきました」

 やり方の具体的な内容はどう表現していいかわからないと言いながら「見えてきた。見えてきたんですよ」と何度も口にする西浦に、今までと変わらぬ独特の雰囲気を感じたが、はっきりした口調には確かに昨年までとは違う強さが備わっていた。

 プロ野球選手としての成長は、技術の向上が全てではない。何かを掴んだ西浦のプレーは、今後どう変わっていくのか。

「試合に出ないと始まらないので、まずはやっぱり試合に出て、次はレギュラーとして1年間出続ける。そこからですね」

 7年目のシーズン、勝負の年が始まる。

取材・文●山本祐香(タレント・スポーツライター)

【著者プロフィール】
やまもと・ゆうか/タレント活動をする傍ら、愛して止まない野球の“現場の声”を自ら届けるため、2015年よりライターとしても活動。主に日本のアマチュア野球を取材し、『スポチュニティ』などウェブ媒体を中心に執筆している。

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