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MLB

敏腕代理人が叶えたコビー・ブライアント最後の願い。16歳の少女がボラス・コーポレーション入りへ

宇根夏樹

2020.03.05

今オフもいくつも巨額契約を成立させた超敏腕代理人ボラス。“吸血鬼”の異名でも知られる彼だが、けして冷血漢ではない。 (C)Getty Images

今オフもいくつも巨額契約を成立させた超敏腕代理人ボラス。“吸血鬼”の異名でも知られる彼だが、けして冷血漢ではない。 (C)Getty Images

 代理人のスコット・ボラスが、コビー・ブライアントの最後の願いを叶えた。自身の運営するボラス・コーポレーションに、インターン(研修生)として16歳の少女を迎え入れる。

 1月26日に、コビーはヘリコプターの事故で亡くなった。彼がプレーしたレイカーズの本拠地、ステイプル・センターで行われた追悼セレモニーで、レイカーズのロブ・ペリンカGMはこんなエピソードを披露した。事故が起きる数分前、機中のコビーからペリンカに届いたテキスト・メッセージには、友人の娘がインターンとして働きたがっているので、誰かベースボールの代理人を知らないかと綴ってあったという。コビーの選手時代、ペリンカは彼の代理人を務めていた。

 メッセージに出てくるコビーの友人は、20年以上にわたってオレンジ・コースト・カレッジでベースボールの監督だったジョン・アルトベリのことだ。ヘリコプターに同乗していたアルトベリ夫妻と次女のアリッサは、コビーとその娘のギアナらとともに、命を落とした(ペリンカはギアナのゴッドファーザーでもある)。ボラス・コーポレーションで働くことになったのは、アルトベリの長女、レキシー(アレクシス)だ。事故の翌日、ペリンカはボラスに連絡し、レキシーの採用が決まった。なお、レキシーとアリッサの兄であるJJ(ジョン)は、2013年にドラフト18巡目でカーディナルスに入団し、その年だけルーキーリーグでプレーした。ポジションは三塁と遊撃。現在は、レッドソックスでスカウトとして働いている。
 
 CNNのエリオット・C・マクラフリンとポール・ベルカメンが発表した記事によると、コビーとボラスは面識があったらしい。ただ、近所に住んでいて、2人ともニューポート・ビーチ教会に通っていたものの、仕事の話をしたことはなかったという。

 スーパー・エージェントのボラスは、今オフも大型契約をいくつもまとめた。ゲリット・コール(ヤンキース)の9年3億2400万ドル、スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)とアンソニー・レンドーン(エンジェルス)の各7年2億4500万ドル、リュ・ヒョンジン(ブルージェイズ)の4年8000万ドル……。ボラス・コーポレーションが今オフに締結させた契約の総額は、10億ドルを上回る。

 これまでにも多くのメガディールを勝ち取ってきたボラスは”吸血鬼”の異名で知られる。だが2009年、クライアントのニック・エイデンハート(当時エンジェルス)が交通事故に巻き込まれて22歳の若さで命を落とした時に記者会見で号泣したように、決して冷血漢ではない。コビーの最後の願いを叶えたのも、そうした一面があってのことかもしれない。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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