日本シリーズという大舞台に、静かな緊張が張り詰めていた。
1点を追うDeNA。8回裏、2死。打席には牧秀悟、マウンドにはソフトバンクの松本裕樹。ともに3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンの一員として戦った2人が、今度は日本一を懸けた舞台で向き合っていた。
試合を決定づけるかもしれない、一瞬の勝負。そこで生まれた牧の一発は、単なる同点本塁打ではなかった。投手の意図を読み、打者がそれを上回る。日本シリーズにふさわしい、極限の駆け引きの末に生まれた一撃だった。
松本は牧の前の打者を簡単に打ち取り、2死を奪っていた。1点リードの終盤。ソフトバンクにとっては、あと1人を抑えれば勝利へ大きく近づく場面だった。
牧に対して、松本はスライダーを2球続けた。しかし、いずれもストライクゾーンを大きく外れる。打者有利のカウントとなり、牧は勝負球を待つ余裕を得た。
この場面で、牧が狙うべきものは明確だった。長打、できれば本塁打。1点を追う展開で、終盤に打順が巡ってきた主砲に求められるのは、試合を振り出しに戻す一打である。
ただし、打者が待っているからといって、投手が簡単にその球を投げるわけではない。
松本は3球目にもスライダーを選択した。牧は普段より大きなスイングで応じたが、バットは空を切る。空振りを奪った松本の判断も見事だった。ストライクが欲しい場面で、あえて同じ球種を続ける。打者の狙いを逆手に取る、プロらしい配球だった。
そして、勝負はここからだった。
次は直球か。それとも、もう一度変化球か。
2球続けてスライダーを外し、3球目で空振りを奪った松本。打者にストライクを意識させることができた一方で、牧もまた、次の1球に集中力を研ぎ澄ませていたはずだ。
4球目。松本が投じたのは、155キロのストレートだった。
牧は、そのボールを完璧に捉えた。
打球はスタンドへ。土壇場で試合を振り出しに戻す本塁打となった。
1点を追うDeNA。8回裏、2死。打席には牧秀悟、マウンドにはソフトバンクの松本裕樹。ともに3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンの一員として戦った2人が、今度は日本一を懸けた舞台で向き合っていた。
試合を決定づけるかもしれない、一瞬の勝負。そこで生まれた牧の一発は、単なる同点本塁打ではなかった。投手の意図を読み、打者がそれを上回る。日本シリーズにふさわしい、極限の駆け引きの末に生まれた一撃だった。
松本は牧の前の打者を簡単に打ち取り、2死を奪っていた。1点リードの終盤。ソフトバンクにとっては、あと1人を抑えれば勝利へ大きく近づく場面だった。
牧に対して、松本はスライダーを2球続けた。しかし、いずれもストライクゾーンを大きく外れる。打者有利のカウントとなり、牧は勝負球を待つ余裕を得た。
この場面で、牧が狙うべきものは明確だった。長打、できれば本塁打。1点を追う展開で、終盤に打順が巡ってきた主砲に求められるのは、試合を振り出しに戻す一打である。
ただし、打者が待っているからといって、投手が簡単にその球を投げるわけではない。
松本は3球目にもスライダーを選択した。牧は普段より大きなスイングで応じたが、バットは空を切る。空振りを奪った松本の判断も見事だった。ストライクが欲しい場面で、あえて同じ球種を続ける。打者の狙いを逆手に取る、プロらしい配球だった。
そして、勝負はここからだった。
次は直球か。それとも、もう一度変化球か。
2球続けてスライダーを外し、3球目で空振りを奪った松本。打者にストライクを意識させることができた一方で、牧もまた、次の1球に集中力を研ぎ澄ませていたはずだ。
4球目。松本が投じたのは、155キロのストレートだった。
牧は、そのボールを完璧に捉えた。
打球はスタンドへ。土壇場で試合を振り出しに戻す本塁打となった。