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【2010年代30球団通信簿:ナ・リーグ東地区】評価が綺麗に分かれた5球団。最低評価はマーリンズ、では最高評価は?

城ノ井道人

2020.04.15

マーリンズはこの10年で地区最下位が5度もあった。16年に不慮の事故で夭逝したフェルナンデスが生きていたら……と思わずにはいられない。(C)Getty Images

 チームの「成功の基準」は予算規模や戦力状況、それまでの歴史などによってそれぞれ違う。そうだとしても、究極の目標がワールドチャンピオン獲得にあることだけは共通している。2010年代におけるナ・リーグ東地区5球団の歩みを振り返りつつ、5段階評価の通信簿形式でディケイドを総括してみよう。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

▼アトランタ・ブレーブス
【評価】可もなく不可もなく(C)

 年俸総額は平均以下ながら10年間で3度の地区優勝、5度のポストシーズン進出は見事。ディケイドで2度の有望株の波を作り出した伝統の育成システムがその原動力と言えよう。名将ボビー・コックス監督が勇退した10年にデビューしたジェイソン・ヘイワード、クレイグ・キンブレルがディケイド前半を支えたが、FA補強の失敗が相次ぎ、14年オフに2人を放出するなどして再建モードに突入。1991年以降の20年間で2度しかなかった負け越しを4年連続で経験する屈辱を味わった。17年にはGMが中南米選手獲得での規定違反で永久追放となる事件も起きた。

 しかし、オジー・アルビーズやロナルド・アクーニャJr.の台頭で18年から2年連続地区優勝と再浮上に成功。タンキングの時期に獲得したプロスペクトは質・量とも豊富で、20年代は黄金期再来の予感も漂う。
 
▼マイアミ・マーリンズ
【評価】ガッカリです(E)

 2010年代は、吝嗇家で知られたオーナーがMLB機構にチームの年俸総額引き上げを約束させられる前代未聞の事態で幕を開けた。12年の新球場完成に合わせてホゼ・レイエスやマーク・バーリーを獲得。ようやく本気になったかと思いきや、地区最下位に終わるとレイエスらをたった1年で放出するファイヤーセールを敢行して非難を浴びた。

 それでも、自慢の育成力は健在でジャンカルロ・スタントンやホゼ・フェルナンデス、クリスチャン・イェリッチが順調に成長。しかし、戦力が再び整い始めた16年にフェルナンデスが不慮の事故死。17年にデレク・ジーターら新経営陣が実権を握ると、スタントンやイェリッチらが次々に放出され、またもチームは解体された。結果、10年間で勝ち越しすらなし。フェルナンデスが健在だったら、今頃チームはどうなっていただろうか。