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【2010年代30球団通信簿:ナ・リーグ中地区】どの球団の評価も平均以上の激戦区。だが、唯一の最高評価を得られたチームは?

城ノ井道人

2020.04.15

エプスティーンGMの再建策が実り、毎年着実に成績を上昇させたカブスは、16年に"ビリー・ゴートの呪い"を解いて悲願の世界一に輝いた。(C)Getty Images

 チームの「成功の基準」は予算規模や戦力状況、それまでの歴史などによってそれぞれ違う。そうだとしても、究極の目標がワールドチャンピオン獲得にあることだけは共通している。2010年代におけるナ・リーグ中地区5球団の歩みを振り返りつつ、5段階評価の通信簿形式でディケイドを総括してみよう。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

▼シカゴ・カブス
【評価】よくできました(A)

 2009年に球団を買収したリケッツ家は、11年オフにレッドソックスで手腕を発揮していたセオ・エプスティーンを編成トップとして招聘する。エプスティーンは、当初はひたすらチーム再建に勤しみ、主力放出で年俸総額を削減するとともにアンソニー・リゾーら将来性豊かな若手を獲得して力を蓄えた。14年オフにジョー・マッドン監督を招聘すると、翌年ワイルドカードでプレーオフに進出。16年に108年ぶりのワールドシリーズ制覇を果たし、シカゴの街は歓喜に包まれた。

 その後も17年、18年とプレーオフに出場したが、FA市場での補強が必ずしも効果的とは言えず、また、若手有望株を次々に放出したことでファーム組織も枯渇。19年終了後にはマッドン監督が退任し、クリス・ブライアントに放出説が出るなど、20年代を迎えてまた新たな転換点を迎えている。
 
▼シンシナティ・レッズ
【評価】可もなく不可もなく(C)

 2000年代後半にデビューしたジョーイ・ボトー、ジョニー・クエイト、ジェイ・ブルースら若手の力が結実し、10年に前年地区4位から15年ぶりの地区優勝。キューバの速球王アロルディス・チャップマンも台頭し、12年、13年にもプレーオフ出場を果たした。

 だが、この3度のプレーオフすべて初戦敗退したダスティ・ベイカー監督を解雇したところから転落が始まる。14年に負け越すと、翌年から4年連続地区最下位。エースと期待したホーマー・ベイリーとの総額1億ドル以上の大型契約が外れたこともあり、先発投手陣が崩壊した状態が何年も続いた。地区ライバルで予算規模も似たレベルのブルワーズが速やかに再建を進めたのとは対照的だったが、ここへ来てようやく戦力が整いつつある。秋山翔吾らを補強して臨む20年は久々にプレーオフ進出の好機だ。