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「あまりにひどい状況」新型コロナは死者への弔いまで影響。葬儀業を営むMLB殿堂入り選手が“死の最前線”を激白

2020.05.01

1987年MVPのドーソンは現在、葬儀業を営む。死と向き合う仕事で見えた新型コロナウイルスの脅威とは。(C)Getty Images

1987年MVPのドーソンは現在、葬儀業を営む。死と向き合う仕事で見えた新型コロナウイルスの脅威とは。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスは世界中に猛威を振るい、あらゆる産業が多大な影響を受けているが、まったく望まぬ形で忙しくなっているのが、葬儀業者である。しかし、新型コロナによって故人の弔い方も大きく変わったという。シカゴ・カブスなどで計21年間プレーし、1987年にMVPを獲得して殿堂入りも果たしたアンドレ・ドーソン氏が、「死」への新たな向き合い方について証言している。

 現役中の1985年から、フロリダ州で葬儀業を営むドーソン氏は4月30日、AP通信の取材に応じ、新型コロナウイルスが葬儀にどう影響を与えたのかを語っている。その内容は非常に考えさせられるものだった。

「とても悲しいことです。残された遺族はそれぞれ悲しみに暮れています。しかし、今の状況では以前と同じように弔うことはできません。私は、彼らが心を痛める様を見てきました」とはドーソン氏。

 いわく、新型コロナウイルス感染拡大により葬儀への参列者は最大10名までに限られ、教会での祈りなども密になることを避けるために短くなっており、葬儀全体が“簡素化”されることになったという。自身の会社でも新型コロナウイルスが原因で亡くなった事例を6件受け持っており、マスク、化学防護服を着用し、消毒済みの車と施設を用意して担当したとのことだ。
 
「以前までできた適切な埋葬は今、できません。理想的な送り出し方もできません。弔いにくることも、段取りを決めることもできないのです。できることは、葬儀の過程を迅速化することだけなのです。

 看病したくてもできない人を見たことがありますか? 私は彼らの苦痛を想像することはできません。あまりにひどい状況なのです」。

 新型コロナによる死を、それに近い人たちの心の苦しみをダイレクトに見てきたものが語る重く、リアルな言葉と心情。

 そして最後に、ドーソン氏は今後の球界についても“予言”している。
「ベースボールが再開するようになったら、今までとはまったく別の環境になっているでしょう」

構成●SLUGGER編集部

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