プロ野球

「世代」で見るオリックスの選手層ーー同世代の主力はわずか。95年世代の伸び悩みが低迷の一因に

氏原英明

2020.07.09

エースの山岡(左)と正捕手の若月(右)は同い年だが、彼ら以外にめぼしい同世代の選手はいない。写真:産経新聞社

 チーム作りの基本は競争だ。選手間の競争意識を煽る要素の一つに"年齢"がある。あえて同年齢の選手を揃えて切磋琢磨させることで、チーム強化につながるのだ。各々のチームがどういう意図を持って空気を作り上げているかは、そうした部分からも読み取ることができる。

 今回はオリックスだ。

 このチームに同世代の選手は少ない。昨季、最高勝率のタイトルに輝いた山岡泰輔と正捕手の若月健矢は同じ1995年生まれ。また、救援左腕の海田智行と好守の遊撃手・安達了一は同じ87年世代だが、他のめぼしい主力に同世代の選手はいない。オリックスが長年、下位に低迷している理由の一つは、同世代がしのぎを削る環境を作れずにいるからではないだろうか。

 特に痛かったのは、山岡・若月の同世代にあたる95年生まれの高卒入団組が伸び悩んだことだ。13年のドラフトでは3位の若月の他に、園部聡(4位)、吉田雄人(5位)、奥浪鏡(6位)と続けて高卒野手を指名したが、全員すでに戦力外となっている。
 
 特に吉田や園部は、高校時代には山岡や若月とともにU-18ワールドカップ日本代表に名を連ねた逸材だった。球団は吉田を将来のリードオフマン、園部を将来のクリーンナップ候補と見込んでいた。そのビジョンは決して間違っていなかったはずだが、2人とも伸び悩んだまま大成できなかった。

 また、ともに92年世代である10年のドラフト1位・後藤駿太と、2014年の同1位・山崎福也が伸び悩んでいるのも、チームとしては痛手だろう。同じ92年世代でも、日本ハムが後藤と同じ年のドラフト2位で西川遥輝を、山崎と同じ年に有原航平を1位指名し、ともに球団の顔へと育て上げたのとは対照的だ。

 92年世代は他にも、ソフトバンクの千賀滉大や甲斐拓也、ヤクルトの山田哲人、DeNAの山崎康晃や西武の源田壮亮など、今や球団の顔として君臨している選手が多い。それだけに、後藤と山﨑の伸び悩みが、オリックスが他球団に遅れをとっている現実をそのまま表しているとも言える。この育成の失敗を繰り返さないことが、低迷脱出の絶対条件になってくるだろう。

取材・文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。

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