プロ野球

「球界で一番過小評価されてる」斉藤和巳だから“伝えたい”、40歳開幕投手・石川雅規の偉大さ

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.06.15

斉藤と石川。あらゆる点で正反対の二人だが、斉藤は息長く活躍する石川にどこか「憧れ」を抱いている。写真:産経新聞社

「無事是名馬」の石川雅規と、「太く短く」の斉藤和巳。両雄を形容するフレーズがあるとしたら、これほどしっくりくるものもないだろう。息長くプレーする者と、短期間に信じがたい煌めきを残して球界を去った者。二人のキャリアは非常に対照的である。だからこそ、その対極にある「凄さ」は、当人が一番理解できるのかもしれない。

 19日に幕を開ける今年のプロ野球。ヤクルトは40歳の石川雅規を開幕投手に立てた。40歳以上での開幕投手はプロ野球史上5人目、実に22年ぶりのことである。

 昨シーズン、石川はチーム最多の8勝を挙げた。それだけでも十分、大役にふさわしい成績だが、防御率は4年ぶりの3点台(3.84)、WHIP1.15は08年の1.13に次ぐ自己2位。規定投球回には足りなかったとはいえ、投手三冠の山口俊(現トロント・ブルージェイズ/1.16)を凌ぐ数字だったのだから、「老いてはますます壮なるべし」とはこのことだろう。
 
  2002年のデビュー以降で2ケタ勝利は実に11回、規定投球回を13回クリア。最多勝のタイトルこそないものの、積み上げた勝利数は昨年、ついに自身の「身長(167cm)超え」を果たし、200勝の大台まであと29に迫っている。その投球は決して派手ではない。小柄な体格を目一杯使い、丁寧かつ繊細なコースの出し入れという玄人向けのスタイルだ。

 だからこそ、だろうか。石川への世間の評価について、物申したいと口にしたのが、あらゆる意味で好対照のピッチャーだった、斉藤和巳その人である。

「石川はもっと評価されるべき投手で、周りの評価の低さに物足りなく感じています。本当の意味でプロフェッショナルな選手です」
 
NEXT
PAGE
『長くやる』、『結果を残し続ける』ことは本当に難しい。僕は両方できなかった