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プロ野球

【12球団“縁の下の力持ち”:ヤクルト】歴代の監督から重宝されてきた男・荒木貴裕は一人で何役もこなすバイプレーヤー

勝田聡

2020.06.08

荒木はヤクルトにとって多様な面で価値をもたらす男である。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

荒木はヤクルトにとって多様な面で価値をもたらす男である。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 チームを支えるのは、何もスター選手だけではない。絶対的なレギュラーでなくとも、率先してベンチを盛り上げたり、どんな役割もこなす選手もまた、必要不可欠な存在だ。19日に開幕するプロ野球。異例のシーズンだからこそ、より輝きを増しそうな、「縁の下の力持ち」を紹介しよう。
    ◆    ◆    ◆

 1年間に渡って一度も二軍に降格せず、一軍に帯同し続ける野手とはどのような存在だろうか。

 そのほとんどが、押しも押されもせぬレギュラーである。昨シーズンのヤクルトでは、山田哲人、青木宣親、雄平、村上宗隆が年間を通して一軍でプレーした。彼らが怪我もせず、大きな不振にも見舞われず、1年間を戦い抜いた功労者たちであることに疑いの余地はないだろう。

 そしてもう一人。この4人と同様に1年間、一軍でプレーし続けたのが荒木貴裕である。昨シーズンの荒木は確固たるレギュラーではなかった。当然、規定打席にも到達していない。93試合に出場しているものの、先発出場したのは12試合だけ。そのほとんどが途中出場だった。

 そんな荒木のイメージといえば、「代打の切り札」が思いつくだろうか。昨シーズンの荒木は、12球団最多となる68回に代打起用され、打率.295(61打数18安打)、1本塁打、13打点と存在感を発揮。18安打も12球団最多の数字だった。「切り札」と呼んでも遜色ない数字であることは間違いない。

 しかし、荒木の凄さはそれだけではない。代打の切り札でありながら、複数の守備につくことができる、ユーティリティー・プレーヤーというところにある。

 昨シーズン、荒木はチーム最多となる6ポジション(一塁、二塁、三塁、外野)を守った。もっとも、決して守備が得意な選手ではない。だからなのか、試合前のシートノックでも一塁、二塁、そして左翼など複数の位置で汗を流す姿が確認できる。どの守備位置で出場してもいいように、常に準備を欠かさないのである。
 
 プロ野球の歴史を遡ってみると、代打の切り札と言えば、そのほとんどが一振りに賭ける打撃職人タイプだった。たとえ出塁しても代走を送られるケースが多く、守備につくことなどは稀である。ヤクルトでいえば若松勉、杉浦亨、真中満といった歴戦の切り札たちも、代打がメインになってから守備につくことはほとんどなかった。

 しかし、ベンチ入りできる人数は有限だ。代打の切り札に代走、守備要員を起用しなくて良いのであれば、それにこしたことはない。そう考えると、荒木には1人2役、いや複数の守備位置につけることを、踏まえるとそれ以上の価値があると言えるのではないだろうか。

 歴代の監督から、「ベンチの考えがわかる選手」と称されてきた男は、順調なら今年中に国内FA権を取得する。プロ入り以来、一度も規定打席に到達したことがなくても、チームには欠かせない存在だった、ということを裏付ける証でもある。

 今年から高津臣吾新監督体制になったが、オープン戦や練習試合を見ている限り、その信頼は歴代の監督と変わらないだろう。今年もベンチにあるホワイトボードには、荒木の名前が毎試合のように書き込まれているはずだ。

取材・文●勝田聡

【著者プロフィール】
かつた・さとし/1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。
 

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