プロ野球

【2010年代通信簿:オリックス】幕開けは明るかったが、10年間でCS出場1回は12球団ワースト

藤原彬

2020.06.04

14年のCSはファーストステージで敗退。10年代にリーグ優勝も日本シリーズ進出もなかったのはオリックスだけだ。写真:朝日新聞社

 2020年、新たな年代が幕を開ける。ここで改めて、各チームの過去10年間の戦績を通信簿形式で評価してみたい(通信簿は「よくできました」「まずまずです」「可もなし不可もなし」「がんばりましょう」の4段階)。今回は長い低迷が続くオリックスの10年代を振り返ってみよう。

■2010年代通算成績
648勝741敗46分(勝率.467)/リーグ6位(12球団10位)
日本一:0回 リーグ優勝:0回 CS進出:1回

通信簿:がんばりましょう

 10年3月20日、当時26歳の金子千尋が楽天との開幕戦で鮮やかな完封勝利。稀代の変化球の使い手はこの年、リーグ最多の6完封と17勝をマークするなど、球界を代表する投手へ名乗りを挙げる。打っては、22歳のT-岡田が本塁打王のタイトルを手中に収めた。新たな年代の幕開けとともに、投打の柱が台頭。チームには明るい未来が訪れると思われたが、終わってみればCS出場は12球団最小の1回、勝率.467はパ・リーグワースト。なかなか歯車が噛み合わず、消化不良感が残る10年間だった。
 金子、T-岡田以降も新たな力が次々に台頭した。11年に高卒3年目の西勇輝が10勝を挙げると、前年に救援転向した平野佳寿が49ホールドポイントのリーグ新記録を樹立して最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。坂口智隆はリーグ最多の175安打を放つなど、チーム成績は伴わずとも土台はできつつあった。

 迎えた14年、チームは快進撃を見せた。前半戦を首位で折り返し、夏場にはソフトバンクに追い抜かれながらも、9月下旬にマジック点灯。ゴールが見えたが、10月2日の直接対決で敗れてリーグ優勝を目前で逃し、正捕手の伊藤光たちが悔しさから涙を流した。08年に続く球団2度目のクライマックスシリーズはファーストステージ敗退。振り返ってみれば、初戦を落として迎えた第2戦の8回、T-岡田が逆転の3ランを放ったシーンが盛り上がりのピークだった。

 その年のオフ、フロントは総額約30億円を投じてトニ・ブランコ、中島裕之、小谷野栄一、ブライアン・バリントンらを獲得する大補強を展開。MVPと沢村賞をダブル受賞した金子とも4年総額20億円+出来高の長期契約を交わした。だが、これが結果的に機能しなかった。補強組はいずれも結果を残せず、金子も大型契約とほぼ同時に受けた右ヒジ手術以降、支配力を失っていく。