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プロ野球

【12球団“縁の下の力持ち”:日本ハム】「玉井かい、また」どんな起用法にも応える玉井大翔は“究極の何でも屋”

出野哲也

2020.06.07

いつ、いかなる場面でも首脳陣の期待に応えてくれる玉井の存在は、ブルペンの柱と言ってもいい。写真●金子拓弥(THE DIGEST写真部)

いつ、いかなる場面でも首脳陣の期待に応えてくれる玉井の存在は、ブルペンの柱と言ってもいい。写真●金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 チームを支えるのは何もスター選手だけではない。絶対的なレギュラーでなくとも、率先してベンチを盛り上げたり、どんな役割もこなす選手もまた、必要不可欠な存在だ。19日に開幕するプロ野球。異例のシーズンだからこそ、各チームの幹となる「縁の下の力持ち」に注目してほしい!

    ◆     ◆     ◆ 

 他球団のファンの目に、【玉井大翔】という投手はどのように映っているのだろうか。

 プロ入りは2016年ドラフト8位という低評価。それでも、昨シーズンはリーグ3位の65試合に登板していたから、間違いなく何度も目にしているはずだ。とはいえ、凄く速い球の持ち主でもなく、驚くような変化球もないため、それほど強烈な印象がなくても不思議はない。

 防御率2.61という数字は“意外”なほど良いけれども、セーブ数は0、ホールドは11。つまり、勝ちパターンではそんなに出てこないわけだ。往々にして、リードしている展開だと相手チームの投手にそこまで気が回らないものとあって、それほど存在を強く意識されていないと思われる。

 しかし、日本ハムにとって、玉井の存在価値は極めて大きい。それは、彼がありとあらゆるパターンに対処できる、「究極の“何でも屋”」だからだ。
 
 65試合の内訳を詳しく見ていくと、打者1人を抑えて退いたケースが6度あった一方、2イニング以上を投げた試合も5度。イニングの途中から登板し、次の回も引き続き投げる回またぎも何度となくあった。出番も早い時は、ショートスターターの後の2番手として2回から、遅い時には延長12回からの8番手も経験。すでに大差がついている展開で、実質的な敗戦処理としてもマウンドへ送り出された。

 結果、初回を除くすべてのイニングからマウンドに上がっていて、もはや「決まった起用法がないのが起用法」だった。本人も契約更改の席で、「ブルペンで(他の誰よりも)一番準備した」と振り返っていた通り、ショートスターター導入で混乱しがちだったブルペン陣を整理整頓する、大事な役割を果たしていた。

 投球内容は62イニングで奪三振34個、与四球22個でその比は1.55。決して優秀な数字とは言えない。けれども、ホームランは1本しか打たれていない。また、前年は7個も与えていた死球は1個に減らした。これらの数字は、丁寧なピッチングを心がけ、得意の内角攻めでもコントロールを間違うケースが少なくなったことを示している。

 しかも得点圏では被打率.191に抑えた。誰よりも準備が難しい状況で残した数字であることを考えれば、なおさらその価値は高い。今年も求められる役割はそう変わらないと思われるので、ファンの間で「玉井かい、また」の声が聞かれるだろう。

文●出野哲也

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