プロ野球

【楽天の2020年を左右する3つのポイント】松井の先発転向に加えて則本&岸の復活がカギになる

出野哲也

2020.06.15

ここ5年で30セーブ4度と、絶対的なクローザーとして君臨してきた松井だが、今季は先発に再転向する。写真・徳原隆元

 どんなチームも未知数の要素を抱えてシーズンを迎えるもの。2020年の楽天の成否を左右するであろう3つの要素を分析してみよう。

●1 松井の先発転向は成功するか
 昨年は38セーブでタイトルも手にしたが、松井ほど能力の高い投手には、先発として150イニングを投げてくれる方がありがたい。本人がもともと先発志向、さらには岸孝之が35歳、則本昂大も29歳という状況を考えれば、24歳の松井に将来的なエースとなってもらう必要がある。3月のオープン戦では苦戦していたが、6日の練習試合ではロッテ相手に3回無失点。左の本格派の先発が少ない今のパ・リーグで"先発・松井"は大きなアドバンテージになり得る反面、失敗すればチームの低迷にも直結しかねない。まさに浮沈のカギを握る存在だ。

●2 故障からの完全復活を目指す2人のエース
 松井の先発転向が成功したとしても、則本・岸の両エースがしっかり働いてくれなくては意味がない。昨年は2人とも故障に泣き、計27登板にとどまった。それでも3位だったのだから、彼らが万全なら優勝争いに食い込めると考えるのは当然だ。則本は「力任せではなく、無駄な力を省いた」投球を目指してノーワインドアップの新フォームを導入。開幕投手を務めることも決まっていて、不安はなさそうだ。だが、岸は3月に腰痛を訴え、5月末にブルペンに入ったばかりとスロー調整が続く。もっとも、開幕後に離脱される方がよっぽど困るので、十分に調整を積んで戻ってきてもらいたい。
 
●3 機動力を使った野球を展開できるか
 三木肇新監督が積極的に展開するつもりなのが、機動力を使った作戦。昨年のチーム盗塁数48はリーグ最少タイで成功率55.8%もワースト、ベースランニングでも大きな課題を残したとあって、確かに向上の必要性は高い。大久保博元監督時代にも機動力重視を打ち出しながら看板倒れに終わったが、新監督は日本ハムのコーチ時代に西川遥輝、ヤクルトでは山田哲人を指導した実績の持ち主なので期待したいところだ。練習試合では走塁ミスも散見されるが、昨季、チームトップの13盗塁(失敗3回)だった辰巳涼介のポテンシャルを引き出せれば、新戦術が機能する可能性はありそうだ。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――"裏歴史の主人公たち"」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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