プロ野球

開幕3日前に妥結へ。選手会が“当たり前”の主張を通し、FAに関わる登録日数はほぼ従来通りの算出に

中島大輔

2020.06.16

「登録日数」と「出来高」に関して、選手会は当然の主張を通し、当然の結果を手にすることができた。写真●金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 新型コロナウイルスの感染拡大で3ヵ月遅れた2020年シーズン開幕を3日後に控える6月16日、日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会は事務折衝を行い、議論中だった今季の出場選手登録日数の算出方法などについて合意に達した。

 選手会は多少の譲歩こそ強いられたものの、交渉の二つの争点だった「FA制度に関する登録日数の算出方法」と「出来高契約」に関して"当たり前"の要求を通したと言える。

 出場登録日数について当初、NPBは「実数」でのカウントとしたのに対し、選手会は今季の日程が例年の約190日から約140日と大幅に短縮されることを踏まえ、「登録日数×1.35程度」での算出を要求。次にNPBは143試合から120試合になることで「登録日数×1.2」の算出方法を提案したが、選手会は「試合数」ではなく「シーズンの期間」を考慮するように主張し、今季の出場登録日数は「登録日数×1.3」で計算されることに決まった。
 
 もし、NPBの当初の要求どおりに「実数」でカウントされた場合、今年1シーズン(=145日)の出場登録日数を満たせるのはクライマックスシリーズ(CS)に出場するパ・リーグ1、2位のチームや、一定の試合数以上が雨天中止などでスケジュールが延びた、ごくごく限られた選手になっていた。

 NPBでは現状、国内FA権を取得するには、高卒は8年、大卒と社会人は7年の出場登録日数が必要となる。一般的にプロ野球選手のピークは27~28歳と言われる中、FA制度が導入された1993年から2018年までの間に権利を行使して国内球団に移籍した選手の平均年齢は、実に32.4歳(新球団での開幕時)。選手会は取得年数が長すぎるとし、以前から短縮するよう求めている。仮に今季を「実数」でカウントされたら、多くの選手にとってFA権を取得できるのは1年遅れるため、今回、選手会が勝ち取った要求は大きなものだった。
 
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「最後は誠実な交渉ができた」と言うものの…