MLB

メジャーの「兄弟共演」の歴史。内野全ポジションを兄弟2組で埋め尽くしたことも!?

宇根夏樹

2020.06.27

正遊撃手コレアの弟JCと契約したアストロズ。兄弟ともに内野手で、将来の競演が期待される。(C)Getty Images

 ヒューストン・アストロズが正遊撃手のカルロス・コレア(カルロス・ハビア・コレア)の弟、4歳下のJC・コレア(ジーン・カルロス・コレア)と契約した。8年前のドラフトで、兄はプエルトリコ出身選手では史上初の全体1位指名を受けたが、弟はドラフト外だ。

 とはいえ、今年のドラフトが通常の40ラウンドから5ラウンドに短縮されなければ、JCも指名されていただろう。アストロズは過去に2度、JCを指名している。一昨年は33巡目(全体1002位)、昨年は38巡目(1156位)だった。

 また、MLB.comのブライアン・マクタガートによると、今回の契約前にJCは他の数球団からも誘われていたという。兄ほどのトップ・プロスペクトではないものの、アストロズが契約した理由は兄の存在だけではないようだ。ラマー大でJCは遊撃、二塁、三塁を守ってきた。球団は二塁手として考えているらしく、数年後には兄弟で二遊間コンビを組む日が来るかもしれない。

 同じチームでプレーし、ともに内野手として同時出場した兄弟は、1970年以降の50年間で以下の8組がいた。
 
ハンク&トミー・アーロン(71年アトランタ・ブレーブス)
ハンク&ディック・アレン(73年シカゴ・ホワイトソックス)
カル&ビリー・リプケン(87~92、96年ボルティモア・オリオールズ)
ブレット&アーロン・ブーン(97~98年シンシナティ・レッズ)
バリー&スティーブン・ラーキン(98年レッズ)
エドガー&エイドリアン・ゴンザレス(2008~09年サンディエゴ・パドレス)
アダム&アンディ・ラローシュ(08~09年ピッツバーグ・パイレーツ)
ケイレブ&コーバン・ジョセフ(18年オリオールズ)

 彼らのうち、リプケン兄弟(遊撃&二塁)とブーン兄弟(二塁&三塁)は2人揃ってレギュラーを務めた時期があり、ラローシュ兄弟(一塁&三塁)も約2ヵ月間、内野の両コーナーを揃って守った。一方、ラーキン兄弟の同時出場は1試合。彼らの同時出場が実現したのは98年の最終戦で、この日は遊撃と一塁がラーキン兄弟、二塁と三塁はブーン兄弟という、兄弟2組による史上初の内野カルテットが結成された。ラーキン兄弟の兄バリーは通算2180試合に出場した殿堂入り遊撃手だが、弟スティーブンは球団の計らいでこの1試合に出場したのみである。

 なお、現在同じ球団に在籍している内野手の兄弟は、カルロスとJCだけではない。今年1月、アリゾナ・ダイヤモンドバックスはマイク・アーメッドとマイナー契約を交わした。彼の2歳上の兄ニックはチームの正遊撃手。マイクは28歳ながらまだメジャーデビューを果たしておらず、昨シーズンは2Aで過ごした。メジャーで兄弟共演を果たすのはまだ当分先だろう。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
 
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