プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】救援左腕不足の西武。3連覇のためにはすぐにでもトレードで補強するべき

氏原英明

2020.07.06

4日のオリックス戦で吉田正に逆転弾を浴びてしまった小川。リーグ3連覇へ向け、頼れる救援左腕の不足が課題となっている。写真:徳原隆元

 起こるべくして起こった敗戦だった。

 7月4日の西武対オリックス戦。

 西武は1点リードの8回裏、1死一塁の場面で吉田正尚を迎えると、森脇亮介に代えてサウスポーの小川龍也をマウンドに送った。通常なら、セットアッパーのギャレットが登板してもおかしくない状況だったが、同一カード6連戦の5戦目だったこの日は、日頃はプレッシャーが少ない場面で登板する投手が次々にマウンドに送られた。だが、この日で4連投の小川は吉田に逆転本塁打を被弾。小川は一人挟んで同じく左のT‐岡田にもヒットを浴びて降板した。

 このシーンを見た時に蘇ってきたのは、2週間前に飛び込んできたトレードのニュースだ。

 上位をいく巨人と楽天との間で格差トレードが成立。楽天は年俸2億円のウィーラーを放出したのに対し、巨人から獲得したのがサウスポー池田駿だった。この時にはっきり見えてきたのは、楽天の6年ぶりリーグ制覇への本気度だった。
 
 開幕直後のコラムで、日本ハムのサウスポーマネジメントについて取り上げた。潤沢な資金がない日本ハムは、それこそMLBのレイズのように、あの手この手の戦術を使って勝ちをもぎ取ろうとしている。パ・リーグに数多くいる左打者対策もその一つで、公文克彦ら多くの左腕をブルペンで待機させている。

 そんな中で、楽天がサウスポーを獲得した。左投手不足に喘ぐチーム事情を鑑みての補強策は至極納得のいくものだった。

 3連覇を狙う西武も事情は同じだ。

 サウスポー不足は今季に始まったことではない。2017年のドラフト1位で斎藤大将を獲得したのも弱点を強化するためだったが、その育成は順調とは言えない。それだけに、ライバルの楽天に先んじられたのは痛い。

 振り返ってみれば、6月23日のソフトバンク戦は、そんな台所事情を象徴するような試合だった。