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プロ野球

野手を使い切ってサヨナラのチャンスに投手を代打起用...中日ベンチが犯した「3つのミス」とは?

久保田市郎(SLUGGER編集長)

2020.07.08

就任2年目の与田監督は試合後、「完全に僕のミス」と語った。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

就任2年目の与田監督は試合後、「完全に僕のミス」と語った。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 7月7日の中日対ヤクルト戦で珍事が起きた。1対2とリードされた延長10回裏、中日は2死満塁と一打サヨナラのチャンスを迎え、打順は投手の岡田俊哉。ところが、この時点でベンチには野手は誰も残っておらず、やむなく投手の三ツ間卓也を打席に送った。三ツ間はあえなく三振に終わり、中日は1対2で敗れた。

 一体、なぜこんなことが起きてしまったのか。改めて振り返ると、中日ベンチが犯した「3つのミス」が浮かび上がってくる。

 言うまでもなく最大の失敗は、延長10回から投入した岡田を8番の打順に入れてしまったことだ。この時、捕手の加藤匠馬も交代出場しており、加藤を8番、岡田を9番に入れておけば、代打に三ツ間を送る事態は避けられた。そもそも、9回裏にヒットを放ったA・マルティネスを加藤に代えた理由もいまひとつ分からない。アクシデントによるものならば仕方ないが、加藤を「抑え捕手」のような形で起用するための交代ならば、裏の攻撃への意識が希薄だったと言われても仕方がないだろう。
 
 もう一つは10回裏、1死一、三塁の場面での荒木雅博三塁コーチの判断だ。代走の遠藤一星が三塁走者という状況で、平田良介の当たりはライトへの強烈なライナー。相手の守備位置も前寄りで、通常なら絶対にタッチアップさせない場面ではある。ただ、中日ベンチに野手が残っていないこと、ヤクルトが次の京田陽太を敬遠して投手と勝負するであろうことはこの時点で分かっていたはず。投手のバットに期待するよりは、相手の送球が逸れるなどの可能性に賭けてスタートさせるべきだったのではないか。

 実は、中日ベンチは試合開始時点で致命的とも言えるミスを犯していた。出場登録枠を2つ余らせてゲームに臨んでいたのだ。このうち1つは土曜日先発予定の勝野昌慶の昇格に備えるためと見られるが、もう1枠を余らせた理由は何なのか。ちょうど二軍も名古屋におり、野手を招集することには何の障壁もなかったはずだ。豪快なスウィングが持ち味の石垣将海でも、ベテランの藤井淳志でも、それこそ2年目の根尾昂でも良かった。

 試合後、与田剛監督は「完全に僕のミス」と語った。延長10回での打ち切りも、出場登録枠拡大も、今季だけの特別ルール。首脳陣もまだ「新たな日常」への適応段階ということなのだろうか。

文●久保田市郎(SLUGGER編集長)

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