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MLB

【2020MLB注目のスターたち】ハビア・バイエズ&マット・チャップマン――守備でファンを魅了するファンタジスタ

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.07.23

好プレーといえばやはり守備。中でもチャップマン(左)とバイエズ(右)のダイナミックなプレーは特に見る価値がある。写真:Getty Imgaes

好プレーといえばやはり守備。中でもチャップマン(左)とバイエズ(右)のダイナミックなプレーは特に見る価値がある。写真:Getty Imgaes

 野球の華はホームラン」とよく言われる。確かに、ベーブ・ルースの昔からホームランは多くのファンを魅了してきた。乾いた球音を残し、ボールがどこまでも飛んでいく時の爽快感は否定できない。

 しかし不思議なことに、YouTubeでMLBのプレー動画を検索してみると、上位に来るのは守備のハイライト集だ。MLB.comがまとめた「2019シーズンのトッププレー100」でも、守備のプレーがトップ10を独占し、全体でも実に84個を数えた。

「静」の時間が多い野球において、守備は選手が自らの身体能力を自由に表現できる数少ない場面だ。その瞬間、彼らは〝アーティスト〞になっているようにすら思う。

 数多くの〝芸術家〞が妙技を競い合う中、好プレー集に必ずと言っていいほど登場しているのが、ハビア・バイエズ(カブス)とマット・チャップマン(アスレティックス)である。2人が出てこないハイライト集など存在しないと断言してもいいくらいだ。
 
 プエルトリコ出身のバイエズは、多彩なポジションをこなす汎用性の高い選手だ、二遊間が本来の持ち場。スペイン語で「魔術師」を意味する〝エル・マーゴ〞の愛称通り、変幻自在のあらゆるプレーでファンを虜にする。

 猫のようにすばしっこい動きで打球に追いつくこともあれば、三遊間の奥深くから強肩を発揮するプレーも得意。中でも二塁盗塁を阻止する際、捕手からの送球を受けて走者をまったく見ることなくタッチするノールックプレーは、彼にしかできない超絶技巧だ。
 
 16~17年にバイエズとチームメイトだった通算188勝のジョン・ラッキーはこう言っている。「あいつのプレーを見るまで、タッグプレーに技術なんて必要ないと思っていた。そうじゃなかった。俺が見てきた中でバイエズのタッチは最高のプレーだ」

 初めてメジャーに定着した16年、バイエズはこの妙技を何度となく披露し、カブス108年ぶりの世界一に貢献。プエルトリコ代表として出場した翌年のWBCでも、捕手のヤディアー・モリーナ(カーディナルス)を右手で指差しながらノールック・タッチプレーを完成させた。本人いわくこの技術は、「小さい頃に遊びで身に付けた」らしいが、実は元々が左利き。今でも字を書いたり、フォークやスプーンを持つのも左だ。昨年のある試合では、相手が野手を登板させた時に自身は左打席に立ってフルスウィングを見せていた。
 

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