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MLB

【2020MLB注目のスターたち】ハビア・バイエズ&マット・チャップマン――守備でファンを魅了するファンタジスタ

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.07.23

 バイエズが変幻自在のテクニックを得意とするなら、チャップマンの持ち味は豪快そのもののライフルアームだ。

 投手として98マイルを投げたこともある強肩と体幹の強さから生み出されるチャップマンの送球は、唸りを上げて一塁手のミットに突き刺さる。「キャノン砲」「重力キャンセラー」と形容されるのも納得で、前方に転がったボテボテの打球でも、三塁線から大きく外れた打球だろうとお構いなし。アスレティックスの本拠地オークランド・コロシアムはMLB最大のファウルエリアを持つが、それがかえってチャップマンの凄さをアピールする形にもなっているのだから面白い。

 周知のように、これまで多くの日本人内野手がメジャーの壁に阻まれてきた。理由はさまざまだが、守備力、特に肩の強さが決定的に違うことは大きいだろう。実際、多くのプロ野球選手がメジャーの内野手の強肩ぶりについて「あり得ない」、「次元が違う」と口にしている。

 その〝あり得ない〞世界の住人から〝あり得ない〞と思われているのがチャップマンだと言えば、その凄さが伝わるだろう。元チームメイトで、自身も三塁を守ることがあるジェド・ラウリー(現メッツ)はこう言っている。「グラブさばき、守備範囲、肩の強さ、どれを取っても僕が見た中ナンバー1。多くの選手ができないようなプレーもあいつには関係ない。『ワーオ!』って言ってしまうようなプレーを毎晩やってのけるんだ」
 
 2人の好守はデータ上でも裏付けられている。バイエズはゴールドグラブ受賞経験こそないが、フィールディング・バイブル賞のマルチポジション部門を16年から3年連続で受賞。遊撃手に専念した昨年はDRSが26、スタットキャストの守備指標OAAでも、内野手メジャー1位の19をマークした。

 チャップマンは、フルシーズン1年目の18年から2年連続で全ポジションMLB1位のDRSをマーク。ゴールドグラブはもちろんのこと、リーグ最高の守備選手に贈られるプラチナグラブもダブル受賞を続けている。

 そんな2人だが、知名度に関しては大きな差がある。ユニフォーム売り上げでMLBトップクラスの人気を誇るバイエズは、17年にアスリートの肉体美を特集する『ESPNマガジン』の「ボディ・イシュー」に起用され、今年は人気TVゲーム『MLB The Show20』のカバーを飾った。それに対してチャップマンは、所属チームの人気の低さもあってか知名度はいまひとつ。MLB.comが「彼の名前を覚えなさい!」と題する守備動画をわざわざ制作してPRするくらいである。今回彼を取り上げたのも、皆さんにチャップマンの魅力を知ってほしいという、ある種の使命感(?)もあった。

 ともあれ2人の他にも、メジャーには現実離れしたプレーをやってのける選手が大勢いる。冒頭で紹介した「トッププレー100」の動画を見れば、その凄さに度肝を抜かれるはずだ。

 だから、改めて言いたい。「メジャーの華は守備である」と。

文●新井裕貴(SLUGGER編集部)

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