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MLB

【2020MLB注目のスターたち】アロルディス・チャップマン&ジョシュ・ヘイダー――打者を蹂躙する2人の豪腕クローザー

SLUGGER編集部

2020.07.24

ヘイダー(左)とチャップマン(右)は現代のMLBを代表する豪腕クローザーだ。見た目もいかつくて、威圧感にあふれている。写真:Getty Images

ヘイダー(左)とチャップマン(右)は現代のMLBを代表する豪腕クローザーだ。見た目もいかつくて、威圧感にあふれている。写真:Getty Images

 メジャーリーグのクローザーは、実に個性豊かだ。風貌にしても投球スタイルにしても、ひと目見たら決して忘れない投手が多い。古くはロリー・フィンガースがくるりと丸まった口髭を、近年ではエリック・ガニエが汚れたキャップとゴーグル姿をトレードマークにしていたのが印象深い。現役では、クレイグ・キンブレル(カブス)の真横に腕をぶら下げる「スパイダーアーム」が思い浮かぶ。このポーズは、MLBファンなら誰もが一度は真似したことがあるだろう。

 昨季、両リーグの最優秀救援投手賞をそれぞれ受賞したアロルディス・チャップマン(ヤンキース)とジョシュ・ヘイダー(ブルワーズ)も、強烈な個性を持つクローザーの代表格だ。

 周知のように、チャップマンの代名詞は人類最速クラスの剛速球である。〝キューバン・ミサイル〞の異名をとるこの筋骨隆々の左腕は、まるでマウンドから空を見上げるように大きく上体を反り返らせながら、100マイルを超える速球をどんどん投げ込む。2017年までは、スタットキャストの球速ランキング上位をほとんどチャップマンが独占してしまうので、あえて彼を外す「チャップマン・フィルター」が設けられていたほどだ。

 その後はジョーダン・ヒックス(カーディナルス)など、球速だけならチャップマンをも上回る投手が登場している。だが、「MLBで最もすごいファストボールを投げる投手は誰か」と聞かれたら、今もほとんどの人がチャップマンと答えるだろう。事実、昨季は最速102.7マイル、平均で98.0マイルを叩き出し、奪三振率は13.42を記録した。
 
 もっとも、三振奪取能力においてはヘイダーの方が勝っている。昨季の奪三振率は16.41で、これは両リーグトップの数値(救援50イニング以上)。3月30 日のカーディナルス戦では、すべて4シームで9回を3者連続3球三振に打ち取る「イマキュレイト・イニング」を達成。試合後、クレイグ・カウンセル監督は「Incredible(信じられない)」と何度も繰り返した。
 
 18年には、4月30日のレッズ戦で8つのアウトをすべて三振で奪ってセーブを記録。3イニング未満の登板で8三振を奪ったのは、メジャー史上初の快挙だった。ちなみに、この時のカウンセル監督のコメントは「口をあんぐり開けながら見ていたよ」だった。

 横手気味の変則スリークォーターから投じる、まるで地面から浮き上がるような4シームは現在のメジャーで最も強力なボールの一つと言っていい。事実、彼の4シームは、今年3月にMLB.comが特集した「最も強力な速球投手5選」の中に選ばれた。肩まで伸びた長髪をなびかせ、タトゥーだらけの左腕から繰り出す速球とスライダーで打者をなぎ倒す姿は爽快そのもの。日頃のストレスが溜まっている人は、ぜひ彼の動画集を見てほしい。

 また、ヘイダーにはもう一つの特徴がある。それは、現代ではすっかり珍しくなった〝ファイアマン〞タイプのクローザーであるという点だ。クローザーが起用される場面といえば、現代では9回の1イニング限定が主流。ところが、ヘイダーは8回、状況によっては7回からの登板もいとわない。昨季は2イニング以上投げたのが14試合もあった。技巧派タイプならともかく、力投型で球数もかさみがちなヘイダーがこれだけフル回転を続けると、疲労蓄積が心配になってくるが、それが彼ならではの個性になっているのもまた事実だ。
 

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