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【ヤンキースの「未来予想図」】次代の中心はジャッジではなくトーレス?スタントンの契約は不良債権化のおそれが…

SLUGGER編集部

2020.07.22

17年に新人本塁打記録(当時)を樹立したジャッジ(左)は次代のスターになるとみられていたが、その役割はトーレス(右)が務める方が理にかなっているか。写真:Getty Images

 いよいよ2020年のシーズンが幕を開ける。だが、各チームの編成トップは常に未来を見据えている。主力選手の契約状況やマイナーでの若手選手の育成状況も考慮しながら、ヤンキースの未来を展望してみよう。

 主砲アーロン・ジャッジ、強打の捕手ゲリー・サンチェス、そして若手のエース候補ルイス・セベリーノが一斉にブレイクした2017年から3年連続でプレーオフに進出。103勝を挙げた昨季は7年ぶりの地区優勝に輝いた。しかし、ワールドシリーズ優勝はまたも果たせず、10年代は結局一度も頂点に立てないまま終わった。

 これに業を煮やして、というわけでもないだろうが、しばらく大型FA補強を控えていたブライアン・キャッシュマンGMは9年2億4500万ドルを投じて、FAの目玉だった投手のゲリット・コールを獲得。今季は総年俸は2億6000万ドル近くに達し、久々にMLB最高年俸球団となる。このことからも世界一奪回への意気込みが伺える。

 では、来季以降の展望はどうだろうか。17年にジャッジがブレイクした当時は、彼こそが次代のヤンキースを牽引すると思われていたが、ここへ来て少し事情が変わってきた。18、19年は続けて故障で長期離脱し、今年のキャンプでも脇腹を痛めて離脱。しかも現時点ですでに27歳、FA権を取得する22年オフには30歳になっている。これらの事情を踏まえると、今から長期契約を結ぶ可能性はあまり高くないのではないか。
 
 むしろ23歳という年齢、そしてショートというポジションの特性を考えてもグレイバー・トーレスを次代の中心に据える方が理に適っている。投手陣では、今季限りで田中将大、ジェームズ・パクストンがFA。21年のオプションが更新されなければJA・ハップも抜けることになり、ローテーションの再編が必須になる。ちょうどメジャー昇格時期を迎えるクラーク・シュミットやデイビー・ガルシアと入れ替わるのが理想のパターンだが、目論見通りに行くだろうか。

 もう一つ、ひそかに懸念されるのがジャンカルロ・スタントンだ。マーリンズから引き継いだ超大型契約はまだ8年2億4400万ドル分が残っている。昨年は右ヒザの故障で出場わずか18試合、年齢もすでに30歳となり、不良債権化のリスクが高まってきた。かつてヤンキースはジャコビー・エルズベリーやマーク・テシェーラの超大型契約が足枷となり、それに引きずられてチーム全体が停滞した苦い思い出がある。この事態を避け、なおかつ戦力も維持し続けることは決して容易ではない。

文●SLUGGER編集部

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