プロ野球

ソトの3本塁打などでDeNAが巨人を圧倒。積極果敢に攻める得意のスタイルで優勝にのぞみをつなぐ

氏原英明

2019.09.12

ソトは39本塁打とし、2年連続40本の大台クリアまであと1本に迫った。(C)日刊スポーツ/朝日新聞社

 攻め切った。

 セ・リーグの首位攻防第2戦は、DeNAがソトが3本塁打を放つなど打線が爆発して10−4で巨人に大勝。前日に巨人に点灯していた優勝マジックは9のままで、DeNAは連敗を阻止して何とか踏みとどまった。
 
 この日もDeNAは積極性を崩さなかった。

 1−1の同点で迎えた3回裏、先頭の9番・大和が左中間に落とすヒットを放つと二塁を陥れる好走塁を見せる。続く1番の乙坂智がバント安打を決めて、一、三塁。さらに乙坂は二盗を成功させ、無死二、三塁とチャンスを広げた。そして2番の佐野恵太がライト前へタイムリー。果敢に攻めての勝ち越し劇だった。
 
  猛攻はさらに続いた。一死後、筒香嘉智のライトへのフライはやや浅かったが、三塁走者の乙坂がホームをすり抜け1点追加。さらに、5番のソトがこの日2本目となる本塁打を左翼スタンドに運び、4点を勝ち越したのだった。

 大和の好走塁から始まっての果敢な攻撃は、DeNAが得意とするスタイルでもある。緻密さに欠ける敗戦も少なくはないが、失敗を恐れずに向かっていく姿勢が大勝を生むこともある。ここ数年、ラミレス監督が積み上げてきたDeNAの野球だ。

 ラミレス監督の采配も今日は冴えた。

 前日からラインアップを変更。2番に佐野を据え、2番だったソトを4番・筒香の後の5番に置いた。佐野は4回に広く開いた一・二塁間を破る勝ち越しタイムリーを放った。筒香の犠飛の後にソトが振り抜けたのも、得点の勢いに乗れたからだ。

5回裏、ラミレス監督はゲームを作った先発の井納翔一に代打・梶谷隆幸を送った。その打席は凡打に倒れた梶谷だったが、そのまま守備に入ると、7回裏には澤村拓一から鮮やかな一発。8回裏、ソトがこの日3発目のホームランを打ってとどめを刺した。

これだけ多くのヒットが出てたくさん点を取るのは久しぶりになる。今日は投打がかみあったすごくいい試合でしたね。まだ(ジャイアンツとは)差はあるけど、明日勝てば望みをつなぐことができる。明日が重要だと思います」

 ラミレス監督は試合後にそう語った。

 明日も勝てば、ゲーム差は3。依然として厳しい状況は変わらないが、かすかな希望が見えてくる。望みをつないだ10得点。DeNAはまだ諦めていない。


文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。