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プロ野球

得点圏被打率.105! “覚醒中”のDeNA・大貫晋一がオーストラリアで向き合った自らの課題

萩原孝弘

2020.08.06

2年目の右腕・大貫にブレイクの予感。オーストラリアでの修行が今季の快投に現れている。写真:萩原孝弘

2年目の右腕・大貫にブレイクの予感。オーストラリアでの修行が今季の快投に現れている。写真:萩原孝弘

 ビックリするボールを投げ込むわけではない。ただ黙々と、淡々と、表情を変えずアウトを積み重ねる――DeNA2年目の右腕、大貫晋一に大化けの予感が漂ってきた。

 2年連続開幕一軍を逃した今季は、7月2日の巨人戦で初登板するも4回2失点で敗戦投手に。続く10日の阪神戦では1回3失点KOと不本意な内容が続いた。しかし、中3日でリベンジのチャンスが回ってきた14日の中日戦から、大貫は一気にステップアップしていく。

 この試合を、わずか89球で自己最長の8イニング(2失点)を投げ抜いて今季初勝利をマーク。すると、内容に関わらず登録抹消予定だったラミレス監督は「僕の考えを変えてしまった」と、その後も大貫を先発ローテーションで起用したのだった。大貫もその期待に応え。23日のヤクルト戦では7回1死までノーヒットノーランの快投を披露。6連敗中のチームを見事に救う2勝目をマークし、30日には今季緒戦で敗れた巨人相手に雪辱を果たす6回1失点の好投を見せ、チームを逆転勝利に導いた。

 確かに中日は打線が不振だったし、23日のヤクルトも山田哲人と青木宣親が不在という“追い風”があったのは間違いない。しかし、30日の首位巨人戦はフルメンバー相手の勝利で男をあげ、直近3試合は防御率1.29と素晴らしい数字を残している。
 
 大貫は昨年オフの11月中旬から、年を越して1月末までオーストラリアでの武者修行を敢行していた。異国ではホームステイも経験。「先発として試合を作れなかったことも多かった。スタミナ不足と左打者への投球が課題」と目標を定め、ルーキーイヤーでの15先発、6勝の成績を越えるべく、野球に没頭し続けた。

 そして、その目標は確かに達成されつつある。対左打者の被打率は昨年の.376から今年は.204と大きく改善。また、昨季は15先発で66.2回、1試合平均4イニング程度しか投げられなかったが、今季は1回降板を含めても5先発で26.0回、平均5イニング以上をこなすなど、しっかり長いイニングを投げられるようになっている。

 特筆すべきはピンチを背負った時の投球だ。木塚敦志投手コーチの「高さに注意して、ボールを低めに集める」との指示通りに、外角のツーシーム、内角低めのスプリットを中心にバットの芯を外して凡打の山を築き、得点圏ではセ・リーグベストとなる驚異の被打率.105(20投球回以上)をマーク。自ら身上とする「粘り強く」を体現した投球ができているのだ。

 左腕王国のベイスターズにとって、“右のエース”は長年不在で頭を悩ませてきた。大貫は高校は静岡ながら、実は浜っ子。長年憧れだった“番長”三浦大輔二軍監督が君臨していたエースの座を、ピッチング同様、飄々と大貫晋一がつかむ日が来るのは、そう遠くない未来かもしれない。
  
取材・文・写真●萩原孝弘
 

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