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高校野球

県大会で「3年生39人全員出場」の目標を達成した明石商。有終の美を飾りに“4季”連続の甲子園へ

藤原彬

2020.08.08

明石商の狭間監督は県大会で3年生部員39人が全員試合に出ることを目標の一つに掲げていた。写真:藤原彬

明石商の狭間監督は県大会で3年生部員39人が全員試合に出ることを目標の一つに掲げていた。写真:藤原彬

「逆転の明石商」の空気が漂い始めたのは、やはりプロも注目する2人が登場してからだった。

 8月7日の夏季兵庫県大会5回戦、独自大会としては最後の試合となるこの戦い。明石商は神戸一との一戦(明石トーカロ球場)で1対2とリードされて迎えた7回、2死満塁となってからセンターへ痛いタイムリーヒットを浴びる。三塁走者に続いて二塁走者もホームへと突入するが、打球を処理した来田涼斗(3年)のバックホームで本塁アウト。代打から出場したキャプテンが守備で盛り立て、ピンチを最少失点でしのいだ。

 打線は土壇場の9回に2点を奪って試合を振り出しに戻す。タイブレーク方式の延長戦に突入すると、10回から救援のマウンドに上がった中森俊介(3年)が昨夏の甲子園以来となる150キロを計測する投球で無失点に抑えた。直後の11回に1点をもぎ取り、この試合で初めての勝ち越しに成功した。
 
 明石商は昨夏の兵庫県大会決勝で9回に逆転し、最後は中森が締めて完投で優勝を決めた。甲子園でも3勝のうち2勝が逆転勝ち。その流れを、この試合でも呼び込んだように見えた。だが、中森が押し出しの四球で同点にされると、次の打者には内野安打を打たれて4対5のサヨナラ負け。1年前の再現とはならずに、明石商は最後の試合で涙を呑んだ。

 全国の高校でも、明石商は新型コロナウイルスの影響でモチベーション維持に苦労したチームの一つだろう。今年1月にセンバツ出場を決めていたが、昨年の春から続く甲子園出場が立ち消え、夏の甲子園と出場校を決める地方大会も中止。その後、各都道府県の高野連はそれぞれの独自大会開催を発表し、兵庫県はベスト8までのトーナメント形式の大会を決行した。

 今大会に臨む前に、明石商はチーム全体で2つの目標を共有して士気を高めた。まずは、毎試合ごとにベンチ入りメンバー変更が認められる特別ルールが可能にした「3年生39人全員の出場」だ。狭間善徳監督は「勝たないと全員が出られないというプレッシャーはある」と語ったが、選手同士に「俺も出たから頑張れよという雰囲気」を生み出しながら、大会最後の試合で目標を達成できた。
 

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