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高校野球

【夏の甲子園中止から考える高校野球のこれから│後編】 甲子園中止がドラフトに与える影響は? 高校野球改革へ向けての提言

SLUGGER編集部

2020.06.01

昨年夏の甲子園を制覇したのは履正社高。星稜高を5対3で下した。(写真)朝日新聞社

昨年夏の甲子園を制覇したのは履正社高。星稜高を5対3で下した。(写真)朝日新聞社

 5月20日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、高野連は戦後初めて夏の甲子園大会中止を決めた。この決定は果たして正しかったのか。これからの高校野球はどうあるべきなのか。長年、高校野球を追い続けてきた氏原英明、西尾典文両氏が語り合った。
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――選抜も夏の大会も中止になって、スカウトの活動が難しくなっているという話を聞きますが、実際はどうなのでしょうか?

西尾 難しくなっていると思います。何しろ真剣勝負の場がないわけですから。代替大会が開催されればある程度見えてくるのかもしれませんが、例年よりはどうしても材料が少ない。特に高校生は2年の冬から3年の春にかけてすごく伸びるので、その伸びしろを確かめられなくなったのは大きいですよね。もしかしたら、今年のドラフトは高校生の指名を控えようという動きがあるかもしれません。逆に大学生や社会人は、そこまで大きな変化はないので。

氏原 特に野手がやばいですよね。実際、山田哲人(ヤクルト)や浅村栄斗(楽天)なんかは、3年春から夏にかけて頭角を現した選手でしたからね。伸びる前の山田や浅村を指名する球団はおそらくなかったでしょう。でも、彼らのような選手が獲得できないとなると、球団も苦しいですよね。
 
――そうなると、スカウトたちは2年生の段階の状態で判断しなければならないということでしょうか?

西尾 一応、練習を見ることはできますが、これまでは自粛していたので、これから見る分だけで判断できるかどうかですよね。球団によってかなり方針が分かれるような気もします。「素材に賭けて指名しよう」という球団もあれば、「それだけじゃ判断できないから指名を控えよう」とか、下手をすれば「高校生を一人も指名しない」という球団があるかもしれない。

 そういう空気は選手側に伝わっていると思うので、プロ志望届を出さない選手が増える可能性がある。早い選手は3~4月頃には大学からオファーが来ているし、東京六大学は「プロの指名がなかったら入学する」というのはできないところも多いので、「志望届を出しても指名されないのであれば大学に進もう」と考える選手が増えるかもしれません。そうやって、例年ならプロに行くような選手が大学に進むと、今度は推薦枠も変わってくるし、いろいろ影響が出てくると思います。
 
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