前田健太の躍進が止まらない。
現地時間18日、ミネソタ・ツインズの前田は本拠地で行われたミルウォーキー・ブルワーズ戦に先発すると、3回1死から球団新記録となる8者連続奪三振を達成。さらに8回までノーヒットノーランの快投を続け、球団史上7人目、日本人では野茂英雄と岩隈久志に続く3人目の快挙まであと3人まで迫ったのだ。9回の先頭打者にヒットを許して降板し、後続のリリーフの炎上で4勝目も逃してしまう不運に見舞われたとはいえ、前田がこの日に見せたパフォーマンスには、「圧巻」という形容しかできないものだった。
もっとも、ロサンゼルス・ドジャースから移籍した今シーズンの登板は、いずれも素晴らしい出来である。当たり前だが、投手が失点しないためには、相手を『塁に出さない』ことが一番。そして今季の前田は『メジャーで最も走者を許さない男』と言っても過言ではなく、それは2つのデータが物語っている。
最も分かりやすいであろう『被打率』は5登板を終えて『.128』、18日時点で規定投球回をクリアした全60投手中で堂々の2位に位置している。「ノーヒッターに迫ったのだからそりゃーそうだ」と言われればそれまでだが、この前の登板(同じブルワーズ戦)でも5回まで1安打に抑えており、ここまで浴びた1試合最多安打もわずか5本と、とにかく打たれていないのだ。
さらに凄いのが、被安打と与四球をイニング数で割った『WHIP』。簡単に言えば、1投球回あたりにどれだけの走者を許したかを示す指標で、前田はメジャー1位の『0.63』をマークしている。被打率だけでなく与四球率も優秀でないとWHIPでリーグトップ級の成績は出せるはずもなく、与四球率1.71とコントロールの素晴らしさも見せつけている。
被打率はいいけど制球が……と言われた代表格は、2008年に当時ボストン・レッドソックスに在籍していた松坂大輔だろう。その年メジャー1位の被打率(.208)をマークしていた松坂だが、与四球率はワースト2位の5.05と荒れに荒れており、WHIPは1.32とリーグ平均とほぼ変わらない数字だった。
近代野球と言われる1901年以降、WHIP歴代1位は2000年のペドロ・マルティネスが叩き出した『0.74』。かなり気が早すぎるとはいえ、前田は歴代新記録ペースで打者を抑えているのだ。もっとも、現時点での"ペドロ越え"は前田の他に2人もおり、何度も言うが気の早い話ではある。加えて、『BABIP』、ざっくり言えば「本塁打を除いた打球がヒットになる確率で、.300前後に収束する傾向にある」指標でも、前田は.162と平均値を大幅に下回る数字が出ている。これは、ここまでヒット性の打球が運良くアウトにできていた、とも言い換えられて、今季の登板は"運に恵まれている"という見方があるのも事実だ。
果たして、「前田が運良く抑えられた」のかどうかは、シーズンが終わる9月末に答え合わせができるだろう。その時も好成績が続いていれば、超短期シーズンとはいえ、「前田には実力があった」と見なしてもいいのではないだろうか。
構成●SLUGGER編集部
現地時間18日、ミネソタ・ツインズの前田は本拠地で行われたミルウォーキー・ブルワーズ戦に先発すると、3回1死から球団新記録となる8者連続奪三振を達成。さらに8回までノーヒットノーランの快投を続け、球団史上7人目、日本人では野茂英雄と岩隈久志に続く3人目の快挙まであと3人まで迫ったのだ。9回の先頭打者にヒットを許して降板し、後続のリリーフの炎上で4勝目も逃してしまう不運に見舞われたとはいえ、前田がこの日に見せたパフォーマンスには、「圧巻」という形容しかできないものだった。
もっとも、ロサンゼルス・ドジャースから移籍した今シーズンの登板は、いずれも素晴らしい出来である。当たり前だが、投手が失点しないためには、相手を『塁に出さない』ことが一番。そして今季の前田は『メジャーで最も走者を許さない男』と言っても過言ではなく、それは2つのデータが物語っている。
最も分かりやすいであろう『被打率』は5登板を終えて『.128』、18日時点で規定投球回をクリアした全60投手中で堂々の2位に位置している。「ノーヒッターに迫ったのだからそりゃーそうだ」と言われればそれまでだが、この前の登板(同じブルワーズ戦)でも5回まで1安打に抑えており、ここまで浴びた1試合最多安打もわずか5本と、とにかく打たれていないのだ。
さらに凄いのが、被安打と与四球をイニング数で割った『WHIP』。簡単に言えば、1投球回あたりにどれだけの走者を許したかを示す指標で、前田はメジャー1位の『0.63』をマークしている。被打率だけでなく与四球率も優秀でないとWHIPでリーグトップ級の成績は出せるはずもなく、与四球率1.71とコントロールの素晴らしさも見せつけている。
被打率はいいけど制球が……と言われた代表格は、2008年に当時ボストン・レッドソックスに在籍していた松坂大輔だろう。その年メジャー1位の被打率(.208)をマークしていた松坂だが、与四球率はワースト2位の5.05と荒れに荒れており、WHIPは1.32とリーグ平均とほぼ変わらない数字だった。
近代野球と言われる1901年以降、WHIP歴代1位は2000年のペドロ・マルティネスが叩き出した『0.74』。かなり気が早すぎるとはいえ、前田は歴代新記録ペースで打者を抑えているのだ。もっとも、現時点での"ペドロ越え"は前田の他に2人もおり、何度も言うが気の早い話ではある。加えて、『BABIP』、ざっくり言えば「本塁打を除いた打球がヒットになる確率で、.300前後に収束する傾向にある」指標でも、前田は.162と平均値を大幅に下回る数字が出ている。これは、ここまでヒット性の打球が運良くアウトにできていた、とも言い換えられて、今季の登板は"運に恵まれている"という見方があるのも事実だ。
果たして、「前田が運良く抑えられた」のかどうかは、シーズンが終わる9月末に答え合わせができるだろう。その時も好成績が続いていれば、超短期シーズンとはいえ、「前田には実力があった」と見なしてもいいのではないだろうか。
構成●SLUGGER編集部