今季からMLBに参戦した筒香嘉智(レイズ)と秋山翔吾(レッズ)は、今日でちょうど開幕10試合目の出場。ここまでの2人の打撃をデータから分析してみたい。
まず、基本的な成績から見ていこう。
筒香 打率.182 1本塁打 OPS.592
秋山 打率.200 0本塁打 OPS.506
メジャーデビュー戦で本塁打を放った筒香は打率1割台。秋山はちょうど2割。.800以上が合格点の目安となるOPS(出塁率+長打率)はどちらも.600未満と、まだ日本時代の打棒は発揮できていない。だが、MLB独自のデータ解析ツール『スタットキャスト』のデータを見ると、また違う実像が浮かび上がってくる。
以下は、主なスタットキャスト指標のMLB平均と筒香、秋山の数字を示したものだ。
■打球初速 (MLB平均:88.2マイル)
筒香:89.2マイル 秋山:84.3マイル
■ハードヒット率(MLB平均:34.7%)
筒香:43.5% 秋山:22.7%
■XBA(MLB平均:.252)
筒香:.251 秋山:.235
ハードヒット率は、初速95マイル以上の打球の割合。XBA(expected Batting Average)とは打球初速や種類(ゴロ、フライ、ライナーなど)、角度などから算出したもので、ざっくり言えば「この打撃内容なら本来この打率になっているはず」という期待値だ。
こうして見ると、打率では大して差がない秋山と筒香の打撃内容に大きな差があることが分かる。
筒香はまだ打率1割台とはいえ、打球初速、ハードヒット率ともMLB平均を上回る。特にハードヒット率はMLB全体でも上位25%に入る勢いだ。ハードヒット率と関連して、もう一つ「バレル」という指標がある。こちらは大雑把に言うと「長打になる確率が高い打球をどれだけ打っているか」を示す。このバレル%でも、筒香はMLB平均6.3%を上回る8.7%を残している。XBAは.251で、実際の打率より約7分も高い。つまり、今の筒香はヒットになってもおかしくない当たりがアウトになるケースが多く、今後は成績が向上する可能性がかなり高いということになる。
一方、秋山は好対照だ。ハードヒット率は22.7%に過ぎず、MLB平均より10%以上も低い。筒香と違って長距離砲タイプではないとはいえ、この水準ではヒットもなかなか出ない。バレルにいたっては33打席でまだゼロ。日本時代と違って空振りも多くなっていて、特にスライダー、カーブなど曲がる系の変化球には、スウィング全体の実に65%以上が空振りとなっている。
とはいえ、メジャーの壁にぶつかることは本人も想定内だったはず。日本球界が誇る安打製造機が今後、どのようにアジャストしていくか注目していきたい。
構成●SLUGGER編集部
【PHOTO】名選手が勢ぞろい!2020MLBプレーヤーランキングTOP30!
まず、基本的な成績から見ていこう。
筒香 打率.182 1本塁打 OPS.592
秋山 打率.200 0本塁打 OPS.506
メジャーデビュー戦で本塁打を放った筒香は打率1割台。秋山はちょうど2割。.800以上が合格点の目安となるOPS(出塁率+長打率)はどちらも.600未満と、まだ日本時代の打棒は発揮できていない。だが、MLB独自のデータ解析ツール『スタットキャスト』のデータを見ると、また違う実像が浮かび上がってくる。
以下は、主なスタットキャスト指標のMLB平均と筒香、秋山の数字を示したものだ。
■打球初速 (MLB平均:88.2マイル)
筒香:89.2マイル 秋山:84.3マイル
■ハードヒット率(MLB平均:34.7%)
筒香:43.5% 秋山:22.7%
■XBA(MLB平均:.252)
筒香:.251 秋山:.235
ハードヒット率は、初速95マイル以上の打球の割合。XBA(expected Batting Average)とは打球初速や種類(ゴロ、フライ、ライナーなど)、角度などから算出したもので、ざっくり言えば「この打撃内容なら本来この打率になっているはず」という期待値だ。
こうして見ると、打率では大して差がない秋山と筒香の打撃内容に大きな差があることが分かる。
筒香はまだ打率1割台とはいえ、打球初速、ハードヒット率ともMLB平均を上回る。特にハードヒット率はMLB全体でも上位25%に入る勢いだ。ハードヒット率と関連して、もう一つ「バレル」という指標がある。こちらは大雑把に言うと「長打になる確率が高い打球をどれだけ打っているか」を示す。このバレル%でも、筒香はMLB平均6.3%を上回る8.7%を残している。XBAは.251で、実際の打率より約7分も高い。つまり、今の筒香はヒットになってもおかしくない当たりがアウトになるケースが多く、今後は成績が向上する可能性がかなり高いということになる。
一方、秋山は好対照だ。ハードヒット率は22.7%に過ぎず、MLB平均より10%以上も低い。筒香と違って長距離砲タイプではないとはいえ、この水準ではヒットもなかなか出ない。バレルにいたっては33打席でまだゼロ。日本時代と違って空振りも多くなっていて、特にスライダー、カーブなど曲がる系の変化球には、スウィング全体の実に65%以上が空振りとなっている。
とはいえ、メジャーの壁にぶつかることは本人も想定内だったはず。日本球界が誇る安打製造機が今後、どのようにアジャストしていくか注目していきたい。
構成●SLUGGER編集部
【PHOTO】名選手が勢ぞろい!2020MLBプレーヤーランキングTOP30!