プロ入り時やドラフト候補の選手たちに対して、『○○二世』『○○のイチロー』などと形容されることは少なくない。中でも身長が高く、顔立ちの良い選手には『○○のダルビッシュ』と使われているが、成否が分かれる結果になっていることもざらである。
大成功と言えるのが、"みちのくのダルビッシュ"と"浪速のダルビッシュ"だろう。"みちのく"こと大谷翔平、"浪速"こと藤浪晋太郎は同じ学年、同じ2012年ドラフト1巡目でプロ入りした。プロ入り当初は甲子園春夏優勝投手の藤浪の活躍が目覚ましく、高卒1年目から3年連続2ケタ勝利を達成、3年目には221奪三振でタイトルも獲得した。ここ数年は制球難などで苦しんでいるとはいえ、立派な実績を残している。
そして藤浪と同じく、大谷も3年目に最多勝(15)、最高勝率(.750)、最優秀防御率(2.24)のタイトルに輝いた。プロ入り当初は批判された二刀流に関しても、16年には投手として10勝&防御率1.86、打者として打率.322、22本塁打、OPS1.004という前人未踏の成績を残して周囲の評価を完全に一変させる。この年は両部門でベストナインを受賞しただけでなく、日本ハムを日本一に導いてMVPに輝くと、18年から舞台を移したメジャーでも投打の活躍が評価されて新人王に選ばれている。
同じ日本ハムには、大谷の良き先輩である上沢直之も"松戸のダルビッシュ"と呼ばれていた。彼ら2人ほど圧倒的な成績は残していないものの、ここ数年は先発ローテーションの一角に入り、18年にはリーグ最多3完封をマークしている。17年オフにヤクルトから日本ハムへトレード移籍した杉浦稔大も"帯広のダルビッシュ"、先日トミー・ジョン手術を受けることが決まった石川直也も"庄内のダルビッシュ"と呼ばれていたが、顔立ちも含めて一番似ていたのは、"埼玉のダルビッシュ"こと中村勝だろう。相次ぐ故障もあってプロでは大成できなかったが、そのフォームも本家を彷彿とさせるものがあった。
中村以上に顔も球威も近かったのが"熊本のダルビッシュ"、国吉佑樹だ。本家と同じ身長196cmの長身から投げ下ろす速球が自慢で、昨年は日本人歴代2位の161キロをマークした。また、ダルビッシュの日本ラストイヤーとなった2011年ドラフトでは、ソフトバンクが"九州のダルビッシュ"こと武田翔太、"下町のダルビッシュ"こと吉本祥二を1位、2位で指名して話題を呼んだ。武田は伝家の宝刀カーブを武器に高卒1年目で8勝、日本代表入りを果たすなどまずまずの活躍を見せているが、吉本は一軍に登板することなく17年限りでユニフォームを脱いでいる。
西武にも2人の"ダルビッシュ"がいる。一人は前橋育英2年時に夏の甲子園を制覇した
"前橋のダルビッシュ"こと髙橋光成と、"房総のダルビッシュ"こと相内誠だ。髙橋はその資質をフルに発揮できているとは言えないながらも、昨季は10勝を挙げ、今季も先発ローテーションの一角を務めている一方、相内は8月20日、佐藤龍世とともに「無期限の対外試合出場禁止及びユニホーム着用禁止処分」を下されるなど、素行面の問題が何度も顔をのぞかせている。
確かに"本家"も、週刊誌に未成年者にもかかわらずパチンコ店で喫煙していたことをすっぱ抜かれ、当初は素行が疑問視されたこともあったが、以降はプロとしての振る舞いを見せている。しかし相内は今回だけでなく、ドラフト後に仮免許運転違反と速度超過、未成年飲酒や喫煙など、つごう4度にわたる謹慎処分を言い渡されており、プロ通算8年で0勝も踏まえると、今後は相当に厳しい状況が待っているかもしれない。
ここに挙げた以外にも、プロ入りしていない選手を含めて日本には「数多くのダルビッシュ」が存在してきた。しかし、「オリジナルは超えられない」のかは定かではないものの、本家ダルビッシュは日本時代に5年連続防御率1点台の偉業を成し遂げ、メジャーでも奪三振王を獲得、6年1億2600万ドル(約134億円)の契約も手にするなど、圧倒的すぎる実績を誇っているがゆえに、その壁は非常に高いものがある。
活躍できた者、できなかった者も含め、『○○のダルビッシュ』という異名が、少なからずプレッシャーになっている可能性もあるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
大成功と言えるのが、"みちのくのダルビッシュ"と"浪速のダルビッシュ"だろう。"みちのく"こと大谷翔平、"浪速"こと藤浪晋太郎は同じ学年、同じ2012年ドラフト1巡目でプロ入りした。プロ入り当初は甲子園春夏優勝投手の藤浪の活躍が目覚ましく、高卒1年目から3年連続2ケタ勝利を達成、3年目には221奪三振でタイトルも獲得した。ここ数年は制球難などで苦しんでいるとはいえ、立派な実績を残している。
そして藤浪と同じく、大谷も3年目に最多勝(15)、最高勝率(.750)、最優秀防御率(2.24)のタイトルに輝いた。プロ入り当初は批判された二刀流に関しても、16年には投手として10勝&防御率1.86、打者として打率.322、22本塁打、OPS1.004という前人未踏の成績を残して周囲の評価を完全に一変させる。この年は両部門でベストナインを受賞しただけでなく、日本ハムを日本一に導いてMVPに輝くと、18年から舞台を移したメジャーでも投打の活躍が評価されて新人王に選ばれている。
同じ日本ハムには、大谷の良き先輩である上沢直之も"松戸のダルビッシュ"と呼ばれていた。彼ら2人ほど圧倒的な成績は残していないものの、ここ数年は先発ローテーションの一角に入り、18年にはリーグ最多3完封をマークしている。17年オフにヤクルトから日本ハムへトレード移籍した杉浦稔大も"帯広のダルビッシュ"、先日トミー・ジョン手術を受けることが決まった石川直也も"庄内のダルビッシュ"と呼ばれていたが、顔立ちも含めて一番似ていたのは、"埼玉のダルビッシュ"こと中村勝だろう。相次ぐ故障もあってプロでは大成できなかったが、そのフォームも本家を彷彿とさせるものがあった。
中村以上に顔も球威も近かったのが"熊本のダルビッシュ"、国吉佑樹だ。本家と同じ身長196cmの長身から投げ下ろす速球が自慢で、昨年は日本人歴代2位の161キロをマークした。また、ダルビッシュの日本ラストイヤーとなった2011年ドラフトでは、ソフトバンクが"九州のダルビッシュ"こと武田翔太、"下町のダルビッシュ"こと吉本祥二を1位、2位で指名して話題を呼んだ。武田は伝家の宝刀カーブを武器に高卒1年目で8勝、日本代表入りを果たすなどまずまずの活躍を見せているが、吉本は一軍に登板することなく17年限りでユニフォームを脱いでいる。
西武にも2人の"ダルビッシュ"がいる。一人は前橋育英2年時に夏の甲子園を制覇した
"前橋のダルビッシュ"こと髙橋光成と、"房総のダルビッシュ"こと相内誠だ。髙橋はその資質をフルに発揮できているとは言えないながらも、昨季は10勝を挙げ、今季も先発ローテーションの一角を務めている一方、相内は8月20日、佐藤龍世とともに「無期限の対外試合出場禁止及びユニホーム着用禁止処分」を下されるなど、素行面の問題が何度も顔をのぞかせている。
確かに"本家"も、週刊誌に未成年者にもかかわらずパチンコ店で喫煙していたことをすっぱ抜かれ、当初は素行が疑問視されたこともあったが、以降はプロとしての振る舞いを見せている。しかし相内は今回だけでなく、ドラフト後に仮免許運転違反と速度超過、未成年飲酒や喫煙など、つごう4度にわたる謹慎処分を言い渡されており、プロ通算8年で0勝も踏まえると、今後は相当に厳しい状況が待っているかもしれない。
ここに挙げた以外にも、プロ入りしていない選手を含めて日本には「数多くのダルビッシュ」が存在してきた。しかし、「オリジナルは超えられない」のかは定かではないものの、本家ダルビッシュは日本時代に5年連続防御率1点台の偉業を成し遂げ、メジャーでも奪三振王を獲得、6年1億2600万ドル(約134億円)の契約も手にするなど、圧倒的すぎる実績を誇っているがゆえに、その壁は非常に高いものがある。
活躍できた者、できなかった者も含め、『○○のダルビッシュ』という異名が、少なからずプレッシャーになっている可能性もあるだろうか。
構成●THE DIGEST編集部