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MLB現役最高の選手・トラウトのルーキーカードが4億円超で落札! これまでの最高額は…?

宇根夏樹

2020.08.29

ワグナーの『T206』(左)が高額なのはその稀少さが大きな理由だが、トラウト(右)のサイン入りルーキーカードは本人の実力によるところが大きい。(C)Getty Images

 マイク・トラウト(エンジェルス)のベースボールカードに、オークションで393万6000ドル(約4億1722万円)の値が付き、史上最高額を塗り替えた。、2009年に発売されたトラウトの直筆サイン入りルーキーカードで、サインが本物であることを示す「1/1」の刻印が入った、保存状態も良好な逸品だ。2年前には40万ドル(4680万円)で取り引きされているので、10倍近くも値上がりしたことになる。なお、これまでの最高額は、3年前にオークションにかけられたホーナス・ワグナーのカード、1909年の『T206』の落札額312万ドル(約3億5256万円)だった。

 トラウトは、間違いなく現役最高の選手だ。けれども、選手の実力が高値の理由であるならば、これまでの最高額はなぜベーブ・ルースではなくワグナーのカードについていたのだろうか。
 
 ルースとワグナーは、1936年にまったく同じ得票率95.1%で殿堂の初代メンバーとなったが、メジャーでプレーした期間が少しずれている。ルースは1914年から35年まで。一方、ワグナーは1897年から1917年までだ。確かにその時代においては、ワグナーも最高の選手の一人だった。首位打者獲得は8度を数え、総合指標のbWAR130.8は歴代10位に位置する。

 だが、ルースのbWARは歴代トップの182.5だ。優れているのは成績だけではない。当時歴代最多の714本塁打を量産し、空高く舞い上がるホームランの魅力を人々に知らしめたルースの名は、今日においてもアメリカのみならず、日本の人々にまで広く知られている。一方、球界関係者を除けば、ワグナーがどんな選手だったのかを語れる人は、アメリカでもそう多くはない。

 にもかかわらず、ワグナーのカードに高値が付くのは、ひとえに稀少だからだ。『T206』のカードは、50~60枚程度しか現存していない。ましてや、カード用語でほとんど未使用であることを示す「ミント」と呼ばれる保存状態の良いものはさらに少ない。