現地時間4日、シカゴ・カブスのダルビッシュ有はセントルイス・カーディナルス戦に先発すると、7回1安打1失点、無四球11奪三振で今季7勝目をマーク。開幕戦で敗れたが、以降は日本人初となる7戦7勝とギアを上げ、この時点で勝利(7勝)、防御率(1.44)、奪三振(63)の投手三冠に躍り出た。
6日の試合で奪三振数はジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)に抜かれたものの、サイ・ヤング賞投票で重視される勝利貢献度WARでは、FanGraphs版で投手リーグ1位、Baseball-Reference版でも3位に位置しており、アジア人初のサイ・ヤング賞の可能性は日に日に高まっている。
そんな球界屈指の好投手として活躍するダルビッシュに対し、カブスの専門メディア『ブリーチャー・ネーション』は「ユウ・ダルビッシュ:1年以上にわたって打者とコンピューターを弄んでいる」と題した記事を寄稿し、右腕がなぜ好成績を収めているのかを特集している。
同紙によると、ダルビッシュの昨季後半戦から今季ここまでの防御率2.26は両リーグ4位、奪三振・与四球・被本塁打を基に算出されるFIPも3位と球界屈指の数字を残していることを紹介。そして4日のカーディナルス戦では対戦打者22人のうち、実に半数となる11人から奪三振を記録したわけだが、試合後のコメントが、ダルビッシュの“厄介さ”の一端を示しているという。
「前回の対戦で、僕はカーディナルスに苦戦しました(6回1失点ながら今季最多の8安打を浴びた)。彼らはファウルで粘ってきて、簡単にアウトを取れなかった。だから、今日はプランを持って臨んでいたのです。左打者に対しては2ストライクの後、振らせるようなボール球を投げないこと。そして“チェンジアップ”を多投しました。とにかくチャンジアップを使ったことで、相手を困惑させられたと思います」
ダルビッシュいわく、普段あまり使わない“チェンジアップ”で攻めたことが、難敵の攻略法になったという。ただ面白いことに、軍事技術を応用して作られた高技術度のデータ解析ツール『スタットキャスト』では、4日の試合でダルビッシュは1球もチェンジアップを投げていないことになっている。推測するに、14球計測されている“スプリッター”が、ダルビッシュの言うチェンジアップだったのではないだろうか。
同紙は、ダルビッシュはこれまでチェンジアップを1試合でそれほど多く投げたことはなかったと述べている。だからこそ、「スタットキャストすらも困惑」し、ハイテクロノジーが計測を見誤るほどのボールゆえに、「打者も困惑した」のではないかという結論を出している。
スプリッターかと思ったら、同じようなスピードながら落ち方の異なるチェンジアップが来れば、打者の対応が相当に難しいのは納得だろう。しかも、ダルビッシュの場合は平均155キロ前後の速球に、「11種類」の変化球を操ってくる。そして『スタットキャスト』は、ダルビッシュの持ち球を“7種類”しか認識できていないのだ。
同じスライダーでも、スピード、変化量を微妙に調節して“別の変化球”へと昇華させる。まさに究極の“本格派の変化球投手”たる能力が、ダルビッシュの凄さと言えるだろう。
構成●SLUGGER編集部
【PHOTO】“20年サイ・ヤング賞候補”ダルビッシュ有。投球からイケメンぶり、マエケンらとの絡みも!
6日の試合で奪三振数はジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)に抜かれたものの、サイ・ヤング賞投票で重視される勝利貢献度WARでは、FanGraphs版で投手リーグ1位、Baseball-Reference版でも3位に位置しており、アジア人初のサイ・ヤング賞の可能性は日に日に高まっている。
そんな球界屈指の好投手として活躍するダルビッシュに対し、カブスの専門メディア『ブリーチャー・ネーション』は「ユウ・ダルビッシュ:1年以上にわたって打者とコンピューターを弄んでいる」と題した記事を寄稿し、右腕がなぜ好成績を収めているのかを特集している。
同紙によると、ダルビッシュの昨季後半戦から今季ここまでの防御率2.26は両リーグ4位、奪三振・与四球・被本塁打を基に算出されるFIPも3位と球界屈指の数字を残していることを紹介。そして4日のカーディナルス戦では対戦打者22人のうち、実に半数となる11人から奪三振を記録したわけだが、試合後のコメントが、ダルビッシュの“厄介さ”の一端を示しているという。
「前回の対戦で、僕はカーディナルスに苦戦しました(6回1失点ながら今季最多の8安打を浴びた)。彼らはファウルで粘ってきて、簡単にアウトを取れなかった。だから、今日はプランを持って臨んでいたのです。左打者に対しては2ストライクの後、振らせるようなボール球を投げないこと。そして“チェンジアップ”を多投しました。とにかくチャンジアップを使ったことで、相手を困惑させられたと思います」
ダルビッシュいわく、普段あまり使わない“チェンジアップ”で攻めたことが、難敵の攻略法になったという。ただ面白いことに、軍事技術を応用して作られた高技術度のデータ解析ツール『スタットキャスト』では、4日の試合でダルビッシュは1球もチェンジアップを投げていないことになっている。推測するに、14球計測されている“スプリッター”が、ダルビッシュの言うチェンジアップだったのではないだろうか。
同紙は、ダルビッシュはこれまでチェンジアップを1試合でそれほど多く投げたことはなかったと述べている。だからこそ、「スタットキャストすらも困惑」し、ハイテクロノジーが計測を見誤るほどのボールゆえに、「打者も困惑した」のではないかという結論を出している。
スプリッターかと思ったら、同じようなスピードながら落ち方の異なるチェンジアップが来れば、打者の対応が相当に難しいのは納得だろう。しかも、ダルビッシュの場合は平均155キロ前後の速球に、「11種類」の変化球を操ってくる。そして『スタットキャスト』は、ダルビッシュの持ち球を“7種類”しか認識できていないのだ。
同じスライダーでも、スピード、変化量を微妙に調節して“別の変化球”へと昇華させる。まさに究極の“本格派の変化球投手”たる能力が、ダルビッシュの凄さと言えるだろう。
構成●SLUGGER編集部
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