プロ野球

【氏原英明の本音で勝負!】内川聖一を二軍に置いておくのは正しいことなのか。トレードによる球界活性化への期待

氏原英明

2020.09.23

球史に残る安打製造機にしてクラッチヒッターの内川だが、今季はまだ一軍での出場がない。写真:徳原隆元

 シーズンのクライマックスへ向けた最終的な動きか。

 パ・リーグの逆転優勝を狙う千葉ロッテと楽天が同時に電撃補強を発表した。ロッテは元マリナーズで、かつて中日に在籍して活躍したサウスポーのチェン・ウェイン投手と契約。楽天は広島から金銭トレードでDJ・ジョンソンを獲得した。チェンは先発要員として、ジョンソンはブルペンの一員として期待される。これまでも積極的にトレードでの補強を敢行してきた両チームだが、トレード期限を前にした今回の補強は改めて優勝への強い思いを感じさせる。

 当然と言えば当然とも言うべき補強だ。ロッテにはサウスポーが少ないし、楽天は森原康平の離脱でブルペンが薄い。ソフトバンクを追い抜くためには必要な補強と言えるだろう。

 チームの方向性はシーズン中に様変わりすることはある。下位に低迷する球団は目先の1勝を目指すより、2、3年後に勝つためにどういうチームを作っていくかを考えるべきだ。首位・巨人にマジックが点灯している状況で、送りバントを多用する小さい野球をしているチームにはただただ呆れるばかりだ。
 
 メジャーリーグを見ていると、そこの判断は日本以上にはっきりしている。プレーオフを目指すチームなのか、そうでないのかをトレード期限前に判断し、それによって起用されるメンバーも劇的に変わることがよくある。今季でいえば、ナ・リーグ西地区2位のパドレスがトレード期限直前の3日間で何と6件ものトレードを成立させた一方で、最下位に沈むダイヤモンドバックスは投打の主力を続々と放出した。

 メジャーが特殊なのはトレードの形だ。下位に低迷するチームが優勝を狙うチームに主力選手を放出し、見返りに将来性の高い若手選手を複数獲得する。低迷するチームはそうした形で何人もの若手有望株を集めて2~3年後の浮上を目指すというわけだ。日本だと、巨人とロッテの間で成立した澤村拓一と香月一也、同じく巨人と楽天で行われた高田萌生と高梨雄平のトレードがそれに近い例だろう。もっとも、この場合は若手を獲得したチームも優勝を目指しているという違いはあるが。