専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
プロ野球

「マーリンズの財政にとって悪夢だった」元中日・チェン、“年俸23億円男”のロッテ電撃加入を現地メディアはどう報じたか

THE DIGEST編集部

2020.09.24

マーリンズではピッチングでまったく貢献できず、完全な不良債権に終わったチェン。日本復帰でかつての姿を取り戻せるだろうか。(C)Getty Images

マーリンズではピッチングでまったく貢献できず、完全な不良債権に終わったチェン。日本復帰でかつての姿を取り戻せるだろうか。(C)Getty Images

 日本球界に大きな衝撃が走った。去る21日、ロッテは元中日の左腕、チェン・ウェインを獲得したことを発表した。獲得時点でロッテはパ・リーグ2位につけており、井口資仁監督は「貴重な戦力として大いに期待している。起用は先発で」と、2009年に防御率1.54でタイトルを獲得した本格派の加入で首位ソフトバンクを追撃する意向を明かした。

 もっとも、チェンの加入は本来、起こるはずがなかったものでもあった。というのも、彼は今も「5年契約」に“縛られて”いるからだ。

 2012年にボルティモア・オリオールズと3年1200万ドル(約12億6200万円)+球団オプションの契約を結んだチェンは、強豪ひしめくア・リーグ東地区&打者有利な本拠地球場の中でも安定した成績を残し、先発2~3番手として活躍。4年間で3度も185.0イニング以上を投げて防御率3.72、14年には16勝をマークした。その働きが認められて、15年オフにマイアミ・マーリンズから5年8000万ドル(約83億5000万円)の好待遇が与えられたのだった。

 がしかし、新天地ではかつてのような安定感は見る影もなく、移籍1年目は22先発して無失点試合はゼロ、防御率4.96、被本塁打率1.61。マーリンズのFA投手歴代最高額を投じられた男とは思えぬ数字が並び、また左ヒジを痛めて離脱するなど、この時から“予兆”はあった。そして翌年以降は故障を繰り返して一度も規定投球回に達することなく、中継ぎへの降格も経験。19年オフ、マーリンズは契約を「1年残して」リリースを決断したのだった。

 復活を期したチェンは今季、シアトル・マリナーズとマイナー契約を結んだが、新型コロナウイルスの感染拡大でシーズンの開幕が遅れる中の6月に解雇処分。職場探しの中で、9年ぶりの日本球界復帰が決まったというわけだ。
 
 果たして、チェンが日本の球団と契約を結んだことに関して、数々の移籍情報を取り扱う『MLBトレード・ルーマーズ』も記事を寄稿。詳細にチェンのキャリアに触れていく中で、「19年11月のリリースはチェンにとって災い転じて福となり、マーリンズの財政にとっては悪夢だった」と、衝撃的な言葉でマーリンズ時代を振り返っている。

 新型コロナによってビジネス面に大打撃を受けたMLBは今季、選手の年俸は60試合分の日割り計算となっている。しかし、コロナ禍以前に解雇された選手に関しては元々の契約が適応されて、全額が支払われる規定があり、チェンの場合はマリナーズが10万ドル(約1100万円)のマイナー契約分を負担、そして1年前に所属していたマーリンズが残り2190万ドル(約23億円)を支払う必要があるというわけだ。

 マーリンズの今季のチーム総年俸は“補正”されて4150万ドル(約43億6600万円)。しかし、この半分以上は“補正されない”チェンの21900万ドルが占めている。確かにマーリンズにとって、チェンの契約は在籍期間中も在籍していなくても、「悪夢」という表現が確かに的を射た表現かもしれない。

 もっとも、新たな加入先となったロッテにとっては、マーリンズが悪夢と思っていようと関係のないこと。日本での実績豊富なベテラン左腕が本来の姿を取り戻し、チームを優勝へと導く救世主になるのか。その“夢”だけが叶うことを信じているはずだ。

構成●THE DIGEST編集部
 
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号