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【担当記者が見た大谷翔平】最も重要視するのは「構え」。欠場中につかんだ不振脱却への糸口

斎藤庸裕

2020.09.24

19日に続いて20日、24日にもホームランを放った大谷。シーズン終盤になってようやく不振から脱却しつつある。(C)Getty Images

 打撃不振でもがく中、大谷翔平が最も重視していた部分は、やはり「構え」だった。9月19日のレンジャーズ戦で7試合ぶりに先発メンバーに復帰し、第1打席で本塁打を放った。6試合連続で欠場が続いた期間、特に意識していたことについてこう明かした。

「一番は構えですね。構えている時の全体の見え方、そこを取り組みました」

 今春のキャンプでも、似たようなコメントをしていた。開幕までに最も調整していくべきことは「一番はやっぱり構えですかね。始まる段階で、どうやってピッチャーを捉えてるかによって、そのあとは変わってきますし、そこさえ出来ていれば、あとはちょっとしたところなので」と話した。

 構えている段階で勝負は決まるというのが、大谷の考え方でもある。打席に立った時に、本塁打が打てそうな感覚にもなるという。昨年9月7日、ホワイトソックス戦で17号3ランを放ち、「シーズンの中でもいい感じのホームランだった」と振り返った。理由は「打ち心地。打った瞬間もそうですけど、なんとなく振る前から(本塁打が)いくんじゃないかなという感じがあるかどうかじゃないですかね」と明かした。
 
 打撃好調の際は、打席に立った時に打てる感覚を得られる。だが、今季はその状態が続かない。メジャーで初のサヨナラ打を放った今年9月4日のアストロズ戦後、「技術面でいうなら、立ち方、まずは構え、そこから(勝負は)始まると思うので、簡単かなと見えると思うんですけど、同じように毎回、毎回、立っていくというのも難しい」と話した。確かに開幕直後の7月下旬は、右足を開いてオープンスタンス気味に立っていた試合もあった。まず、打席に立つという時点で試行錯誤が続いている。

 具体的な課題は口にしない。だが、打者として毎年レベルアップをするために、改善を重ねていることは確かだ。

「やりたいことが去年とは違うところもある。その結果、ズレてきたというのもあるとは思うんですけど、去年と同じようなことをずっとやるっていうつもりはないですし、1回1回、もっと良くなるように工夫して打席に立ちたい」

「メジャー挑戦から2年連続で打者として結果を残した。もちろん慢心はない。新たなステージに進むには必然の壁。乗り越えた先に、求めている形がある。20日、24日にもホームランを放った。思い描く打撃に、少しずつ近づいている」

文●斎藤庸裕

【著者プロフィール】
さいとう・のぶひろ。1983年、埼玉県生まれ。日刊スポーツ新聞社でプロ野球担当記者を務めた後サンディエゴ州立大学でスポーツビジネスを学ぶ。2018年から大谷翔平の担当記者を務める。日刊スポーツでコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」を配信中。

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