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MLB

サイ・ヤング賞はダルビッシュ? バウアー? デグロム? 有力候補3人をデータで徹底比較すると本命は…

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.09.27

最多勝が確定的となったダルビッシュ(左)。バウアー(右上)、デグロム(右下)と比較しても内容は一切見劣りしない。(C)Getty Images

最多勝が確定的となったダルビッシュ(左)。バウアー(右上)、デグロム(右下)と比較しても内容は一切見劣りしない。(C)Getty Images

 シカゴ・カブスのダルビッシュ有は現地時間25日、敵地で行われたシカゴ・ホワイトソックス戦に先発。シーズン最終登板となるこの試合を、7回94球を投げて無失点、3安打1四球5奪三振と好投して8勝目を手にした。

 過去3登板はピリッとせずサイ・ヤング賞争いから後退した感もあったが、最終戦の素晴らしいピッチングにより再び賞レース先頭争いに参戦。最多勝はほぼ確定的な状況であり、防御率2.01もリーグ2位、93奪三振も3位と、主要3部門でトップクラスの成績に入っている。そしてサイ・ヤング賞のライバルとなるのが、奪三振数で1位と2位に入っているトレバー・バウアー(シンシナティ・レッズ)とジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)の2人である。

“分かりやすさ”からなのか、日本の多くの媒体では主要3部門のみで賞レースを占う記事が散見されるが、メジャーのアウォードはそう簡単に決まるものではない。投票権を持つ識者は、さまざまなデータを比較しながら自身の中でふさわしい選手を選定していく。なぜなら、彼らはいかなる考えの下で投票したのか説明責任があるからだ。
 
 例えば、勝利数は打線の援護などに大きく左右される数字であり、白星の数はイコール投手の実力を証明するわけではないのは周知の事実だ。他のスタッツが優秀でなければ、評価の対象としては低くせざるを得ない。過去2年連続でサイ・ヤング賞を受賞しているデグロムがいい例だろう。

 彼は18年に10勝9敗、昨年は11勝8敗という成績ながら最高の栄誉に輝いた。勝敗数は平凡であっても、防御率や投球回、奪三振率やその他スタッツで圧倒的な数字を残していたからであり、“見かけ”の数字を超えた部分を識者が評価したからこその、受賞となったわけである。

 では、今年のナ・リーグのサイ・ヤング賞レースはどうか。現時点でのダルビッシュ、バウアー、デグロムの3投手の成績を比較したものが【表】である。QSは6イニング以上を投げて自責点3以下の試合、WHIPは1イニングに許した走者の数、FIPは奪三振・与四球・被本塁打を基に算出される疑似防御率、WARは勝利貢献度を差し、『FanGraphs』と『Baseball-Reference』が算出しているものを明記している。

 整理すると、ダルビッシュは勝利(8勝)、QS(10)、fWAR(3.0)でリーグ1位。バウアーは防御率(1.73)、奪三振(100)、被打率(.159)、WHIP(0.79)、デグロムは奪三振率(13.84)、FIP(1.99)でトップという形だ。

 23日の試合に中3日(本人は一番投げやすいという)で臨み、8回1失点12奪三振の力投を見せたバウアーは「サイ・ヤング賞? 俺で決まりだろ」と言っていたが、こうして有力候補3人の成績を比較すると、断言するのはさすがに早計なように思われる。
 
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