『復活のF』――2015年に公開された映画『ドラゴンボール』のタイトルは『ドラゴンボールZ 復活の「F」』。この「F」は同作の人気キャラクター、フリーザが孫悟空に敗れた後、人生初のトレーニングを行ってパワーアップし、主人公たちの前に立ちはだかる姿から“復活のF”と名付けられている。
そして、今年のプロ野球でも“復活のF”となるべく奮闘している男がいる。阪神タイガースの右腕、藤浪晋太郎である。大阪桐蔭高校で甲子園春夏連覇を成し遂げ、2012年ドラフトで4球団が競合して阪神へ入団した天才は、プロ1年目から3年連続で2ケタ勝利を達成し、3年目には221奪三振でタイトルも獲得した。
しかし、そこからは制球難などもあってスランプを経験。昨年はプロ入り初めて一軍未勝利に終わると、今年も初白星を挙げるまで4連敗と苦しい投球が続いた。9月中旬から二軍降格となっていたが、チーム内で新型コロナウイルスの感染クラスター発生に伴って緊急昇格。ブルペン陣が大量離脱となったこともあり、26日のヤクルト戦で新人年以来となる救援登板を果たした。
この時は村上宗隆に一発を浴びて敗戦投手になったものの、そこから3試合連続無失点ピッチング。エンジンは徐々にかかっていき、9月29日の中日戦では初ホールドを記録すると、10月1日の同カードでは何と160キロを5回も計測。堂々たるマウンド姿に、涙するファンもいたほどである。
とまぁ感傷的な話は一旦置いておいて、「リリーフ・藤浪晋太郎」の凄さに迫りたい。前述したように、藤浪は自己最速タイの160キロを計測するなど、限られたイニングというのもあってか圧倒的なスピードボールを放っている。最初の救援登板こそ慣れない役回りで150キロを下回ったストレートが2球あったが、以降の3登板で投じたストレート計33球はすべて大台を突破。
平均球速は「154.2キロ」に達していて、これは過去5年間の救援投手で全体2位に相当する(シーズン300球以上が対象)。昨年の救援投手のストレート平均球速が145.6キロだったから、藤浪のボールはまさに出色と言っていい。過去5年間のランキングは以下の通りだ。
1位:エスコバー(DeNA・2019年)/154.2キロ
2位:サファテ(ソフトバンク・2017年)/153.3キロ
3位:R.マルティネス(中日・2019年)/153.0キロ
3位:カミネロ(巨人・2017年)/153.0キロ
5位:サファテ(ソフトバンク・2015年)/152.9キロ
※300球以上が対象/球速は計測できたボールのみが対象
ちなみに、慣れ親しんだ甲子園での2登板に限ると、藤浪の平均球速は「157.0キロ」(!)という、“和製チャップマン”と呼んでも遜色ない数字を残している。チャップマンとは世界最速169.1キロを誇るメジャー屈指の大クローザーだ。思えばその彼も、キューバ時代は先発投手を務めていたが、制球力不足とスペックを考えてリリーフへ転向し、そこから球史に残る守護神へと成長していった。
藤浪が今後、先発投手へ再転向するのか、それともリリーフの道に進むのかは分からない。しかし、自らが輝ける新しい「道」が見えたことだけでも、ここ数年間の苦しみを思えば十分すぎる成果だろう。少なくとも残りシーズン、「リリーフ・藤浪晋太郎」の投球が非常に楽しみなことは間違いない。
構成●THE DIGEST編集部
【PHOTO】ファンの心を鷲掴み!イケメンプロ野球選手を厳選!
そして、今年のプロ野球でも“復活のF”となるべく奮闘している男がいる。阪神タイガースの右腕、藤浪晋太郎である。大阪桐蔭高校で甲子園春夏連覇を成し遂げ、2012年ドラフトで4球団が競合して阪神へ入団した天才は、プロ1年目から3年連続で2ケタ勝利を達成し、3年目には221奪三振でタイトルも獲得した。
しかし、そこからは制球難などもあってスランプを経験。昨年はプロ入り初めて一軍未勝利に終わると、今年も初白星を挙げるまで4連敗と苦しい投球が続いた。9月中旬から二軍降格となっていたが、チーム内で新型コロナウイルスの感染クラスター発生に伴って緊急昇格。ブルペン陣が大量離脱となったこともあり、26日のヤクルト戦で新人年以来となる救援登板を果たした。
この時は村上宗隆に一発を浴びて敗戦投手になったものの、そこから3試合連続無失点ピッチング。エンジンは徐々にかかっていき、9月29日の中日戦では初ホールドを記録すると、10月1日の同カードでは何と160キロを5回も計測。堂々たるマウンド姿に、涙するファンもいたほどである。
とまぁ感傷的な話は一旦置いておいて、「リリーフ・藤浪晋太郎」の凄さに迫りたい。前述したように、藤浪は自己最速タイの160キロを計測するなど、限られたイニングというのもあってか圧倒的なスピードボールを放っている。最初の救援登板こそ慣れない役回りで150キロを下回ったストレートが2球あったが、以降の3登板で投じたストレート計33球はすべて大台を突破。
平均球速は「154.2キロ」に達していて、これは過去5年間の救援投手で全体2位に相当する(シーズン300球以上が対象)。昨年の救援投手のストレート平均球速が145.6キロだったから、藤浪のボールはまさに出色と言っていい。過去5年間のランキングは以下の通りだ。
1位:エスコバー(DeNA・2019年)/154.2キロ
2位:サファテ(ソフトバンク・2017年)/153.3キロ
3位:R.マルティネス(中日・2019年)/153.0キロ
3位:カミネロ(巨人・2017年)/153.0キロ
5位:サファテ(ソフトバンク・2015年)/152.9キロ
※300球以上が対象/球速は計測できたボールのみが対象
ちなみに、慣れ親しんだ甲子園での2登板に限ると、藤浪の平均球速は「157.0キロ」(!)という、“和製チャップマン”と呼んでも遜色ない数字を残している。チャップマンとは世界最速169.1キロを誇るメジャー屈指の大クローザーだ。思えばその彼も、キューバ時代は先発投手を務めていたが、制球力不足とスペックを考えてリリーフへ転向し、そこから球史に残る守護神へと成長していった。
藤浪が今後、先発投手へ再転向するのか、それともリリーフの道に進むのかは分からない。しかし、自らが輝ける新しい「道」が見えたことだけでも、ここ数年間の苦しみを思えば十分すぎる成果だろう。少なくとも残りシーズン、「リリーフ・藤浪晋太郎」の投球が非常に楽しみなことは間違いない。
構成●THE DIGEST編集部
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