プロ野球のセ・リーグは２試合を行い、CS出場権の可能性を残す阪神が３－０で２位のDeNAに完勝。昨日、リーグ優勝を決めた巨人は３－10の降雨コールドでヤクルトに敗れた。広島と中日の試合は台風の接近により順延となった。

　阪神は小刻みな継投で執念の１勝を挙げた。
　先発したのは若い望月惇志だったが、４回２死を取ったところで能見篤史にスイッチ。ガルシアと岩崎優が１イニングずつを抑えると、島本浩也、ドリスとつなぎ、最後は藤川球児が締めた。目先を変えていくことで相手打線に的を絞らせない指揮官の意図が見えた継投策で、完封リレーを完成させた。

　打つ方は数少ない好機をものにした。
　５回、２つの四死球で１、２塁の好機を作ると、代打・鳥谷敬が左翼前的打を放ち１点。近本光司も犠牲フライを放ち２点をリード。６回には梅野隆太郎の適時打で３−０として試合を決めた。

　今季初のお立ち台に上がった鳥谷は「なかなかこういう機会がなかったので、懐かしい感じがします。自分たちができることは全部勝つこと。そこに向けて全員で頑張っていきたい」と語っていた。

　この日、広島－中日が台風の接近により試合がなかった。その差は大きく縮まらなかったが、広島、中日、阪神の間でのCS争いは目が離せない展開になってきた。 　前日に優勝を決めた巨人は、先発の桜井俊貴がピリッとしなかった。

　２－１のリードで迎えた４回、青木宣親の適時打で同点とされると、２死から村上宗隆を歩かせた後、廣岡大志に３点本塁打を浴びた。４回にも、青木の適時三塁打などで３失点を喫して降板した。

　打線は２回にゲレーロが先制の２点本塁打を放つなど、坂本勇人や亀井義行、丸佳浩がスタメンを外れる中、CSへ向けた競争がスタートしている。いい形で２点を挙げていただけに、桜井の乱調はチームの勢いに水を差した。

　一方のヤクルトは、廣岡をはじめとして、ここ数試合は若手のバットが振れている。この日はベテランの石川雅規が５回を抑えて勝利投手になったが、投手陣にも若い世代の台頭が期待される。

文●氏原英明（ベースボールジャーナリスト）

【著者プロフィール】
うじはら・ひであき／1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』（新潮社）、『メジャーをかなえた雄星ノート』（文藝春秋社）では監修を務めた。