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プロ野球

ドラフト全体"最下位指名”から成り上がったロッテ・福浦和也。成功例の希少さが示す偉大さ

藤原彬

2019.09.23

2001年に首位打者を獲得、昨年9月には球団史上3人目の通算2000安打を達成した福浦。ドラフト全体最下位指名からのし上がってみせた。写真:朝日新聞社

2001年に首位打者を獲得、昨年9月には球団史上3人目の通算2000安打を達成した福浦。ドラフト全体最下位指名からのし上がってみせた。写真:朝日新聞社

 9月23日、福浦和也(ロッテ)が現役生活にピリオドを打つ。

 実働23年で通算2000本のヒットを記録した“幕張の安打製造機”は1993年のドラフト7位指名でプロ入り。64人が指名されたこの年の新人選手選択会議で、最後に名前を読み上げられた選手だった。

 ドラフトで「最終指名」されて一軍通算1000試合に達した野手は、福浦以外では福良淳一(84年ドラフト6位/阪急)のみ。150登板を超えた投手は田畑一也(95年ドラフト4位/ヤクルト)だけだ。“全体最下位指名”から成功を収めることがいかに難しいか理解できるだろう。

“全体最下位指名”から各球団の「最下位指名」を受けた計649人に対象を広げると、通算1000試合以上出場は20人、通算150登板以上は25人いる。

 
 野手20人の中で、福浦と共通点が多いのは佐々木誠(83年ドラフト6位/南海)と平井光親(88年ドラフト6位/ロッテ)だ。

 福浦と同じく、高校時代は投手だった佐々木はプロ入り後に外野手へ転向。90、91年にリーグ最多の二塁打を記録し、92年には打率.322で首位打者に輝いた。この年は21本塁打&リーグ最多の40盗塁も記録。日米野球で来日したメジャーリーグ関係者からも高い評価を受けるなど、スケールの大きな選手だった。ロッテの先輩でチームメイトだった平井も同じく左投げ左打ちで、91年にはリーグ最高の打率.314をマークした。


 現役終盤に福浦が任されていた「左の代打」として役割を確立したのは浅井樹(89年ドラフト6位/広島)だ。規定打席に到達したことはなかったが、一塁と外野を守りながら代打としてはプロ野球歴代3位の154安打を積み上げた。

 種田仁(89年ドラフト6位/中日)は、福浦と好対照だ。上宮高時代は3度甲子園出場の経歴を誇り、セ・リーグの中日と横浜で主に活躍。右投げ右打ちで二塁と遊撃をメインに内野を守り、重心を低く構えた“ガニマタ打法”からしぶとく安打を放った。

 足と守備を武器にキャリアを切り開いた選手も多い。屋敷要(77年ドラフト6位/大洋)は盗塁王3回、ゴールデン・グラブ賞を5回受賞した。佐々木と村松有人(90年ドラフト6位/ダイエー)も盗塁王とゴールデン・グラブを手にしている。

 田村藤夫(77年ドラフト6位/日本ハム)は名捕手として鳴らし、山森雅文(78年ドラフト4位/阪急)は外野フェンスをよじ登ってのスーパープレーで魅せてゴールデン・グラブ賞を受賞した。福浦と同じ千葉県習志野市出身の田村は96年にロッテで福浦とチームメイトとなり、山森は11年にロッテの一軍外野守備走塁コーチとして接した。

 現役では松山竜平(2007年ドラフト大社4位/広島)や清田育宏(09年ドラフト4位/ロッテ)、島内宏明(11年ドラフト6位/楽天)らが通算1000試合に近付いている。宮﨑敏郎(12年ドラフト6位/DeNA)はキャリアこそ浅いが、17年に首位打者を獲得するなどリーグ屈指の好打者として大成。今年のルーキーでは中川圭太(オリックス)が交流戦首位打者に輝くなど頭角を現した。

 
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