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MLB

【MLB地区シリーズ展望:アスレティックスvsアストロズ】「プレーオフでの強さ」ならアストロズ有利?サイン盗みにまつわる因縁の対決にも注目

宇根夏樹

2020.10.05

アストロズは昨年のプレーオフでも活躍したアルトゥーベ(左)の復活がカギ。サイン盗みを告発したファイアーズ(右)との因縁の対決にも注目だ。(C)Getty Images

アストロズは昨年のプレーオフでも活躍したアルトゥーベ(左)の復活がカギ。サイン盗みを告発したファイアーズ(右)との因縁の対決にも注目だ。(C)Getty Images

▼レギュラーシーズン負け越しでもアストロズが有利?
 同じア・リーグ西地区に所属する両チームのレギュラーシーズンの成績は大きく異なる。地区首位のアスレティックスは36勝24敗で勝率.600、一方のアストロズは2位といえども29勝31敗、勝率.483と負け越している。対戦した10試合ではアスレティックスが7勝と圧倒しており、当然このシリーズもアスレティックスが有利……と言いたいところだが、必ずしもそうとは言い切れない。

 なぜならアスレティックスは、過去20年間(2000~19年)で10度プレーオフに進出していながら、地区シリーズ以前での敗退が9度とポストシーズンでは極めて勝負弱いチ―ムだからだ。対するアストロズは直近3年間すべてリーグ優勝決定シリーズまで進んでいる。ワイルドカード・シリーズでは敵地でツインズを連勝で下しており、勢いでもアストロズに分がある。
 
▼“ポストシーズン男”たちは復調できるのか?
 アストロズの不安材料は、“ポストシーズン男”のホゼ・アルトゥーベが沈黙し続けていることだ。17年のMVPで首位打者3度を獲得、昨シーズンは31本塁打を放ってポストシーズンでも18試合で打率.329&5本塁打。ヤンキースとのリーグ優勝決定シリーズでは第6戦にワールドシリーズ進出を決める値千金のサヨナラホームランも放っている。

 だが、今シーズンは打率.219&5本塁打と、一転して大不振。ワイルドカード・シリーズでも7打数0安打と沈黙している。同じくプレーオフに強いはずのリードオフのジョージ・スプリンガーも前シリーズでは9打数1安打と役目を果たせていない。両者が打ち始めればアストロズの得点力は大幅に高まるが、逆に言えばアスレティックスは、彼ら2人をいかに抑えておけるかが重要となりそうだ。

▼“正義の告発者”ファイアーズが大舞台で古巣と初対決
 アスレティックスには、15~17年にアストロズに在籍していたマイク・ファイアーズがいる。彼は昨年の秋に発表された『ジ・アスレティック』の記事において、アストロズが行っていたサイン盗みを実名で告発した。不正を明るみにしたことで世間からは称賛を浴びたが、一方でファイアーズを「チームの内部事情を外部に漏らした裏切者」と非難する選手もいた。

 その告発以来、ファイアーズはオープン戦を含めてもアストロズ戦では一度も投げておらず、このシリーズが初対決となる。“正義の告発者”が、フィールドにおいてもアストロズを成敗するのか。それとも、“裏切り者”をアストロズが打ちのめすのか。因縁の対決にも要注目だ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。


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