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プロ野球

退任報道が出たラミレス監督。5年間で露わになった“功罪”とは?

萩原孝弘

2020.10.09

ラミレス監督の去就が取り沙汰されている中、改めてその5年間を振り返る。写真:萩原孝弘

ラミレス監督の去就が取り沙汰されている中、改めてその5年間を振り返る。写真:萩原孝弘

 「若手、中堅、ベテランが融合したチームはさらなる進化を遂げており、いよいよ成果をあげる“集大成”の一年となります」

 今シーズンで5年目を迎えた、ラミレス監督の開幕時の意気込みの言葉。昨年はリーグ2位に入り、巨人の連覇を阻む存在として期待されたDeNAだが、今季は主力に故障者が相次いだこともあり、優勝どころかAクラス入りも危ぶまれる状況になっている。

 そうしたこともあってか、ラミレス監督が今季限りで退任するとの一部報道も出ている。球団社長はこれを否定し、進退云々はまだ分からないものの、改めてラミレス政権の5年間を振り返ると、さまざまな「プラス」と「マイナス」が見えてくる。
 
  2016年の監督就任時には、キャプテン・筒香嘉智(現タンパベイ・レイズ)を中心に、若手の桑原将志、倉本寿彦、新人捕手の戸柱恭孝らをレギュラーに抜擢。センターラインの固定に着手してチームの礎を形成した。成熟期になる18年からはFA加入の大和、ルーキー神里和毅、トレード加入の伊藤光らを起用し、チームに競争原理を導入。データと直感を駆使した“Day by day baseball”へと移行していく。

  打線を見ると、就任当初から2番に梶谷隆幸を抜擢する攻撃型布陣を積極的に採用。17年には9番に投手ではなく、勝負強い倉本を配置して話題を呼んだ。大黒柱の筒香も4番だけでなく、3番や2番、時にはリードオフに起用し、宮崎敏郎が故障した際は三塁も任せた。

 矢継ぎ早にブルペン陣をフル回転する“マシンガン継投”も特徴で、17年には5投手が60試合以上に登板。短期決戦では今永昇太、濱口遥大をリリーフ起用する策もハマった。オープナーや相手打者によって守備を大胆に移動させるシフトも早くから取り入れるなど、変化を恐れないチャレンジング采配は、間違いなくNPB に新風を吹かせた。

  また、屈辱的な大敗を喫しても選手を批判することはなく、「起きてしまったことは変えられない。しっかり準備をして明日は違う日にする」「どう始まったかよりも、どう終わるかが重要」「連敗の後には必ず連勝が来る」など、ポジティブな発言でチームを鼓舞。取材対応の良さも非常に素晴らしいものがある。

 選手の能力、調子を見極める目は鋭く、同じ外国人のネフタリ・ソトには配球やミートポイントなどをアドバイス、今年は梶谷や倉本にも的確な助言を与え、復活をアシストした。筒香の後釜として大抜擢した佐野恵太は、昨季までは代打中心だったにもかかわらず、今季は首位打者のタイトルも狙える4番打者に成長。今やすっかりチームの顔になっている。これらは間違いなく、ラミレス監督ならではの功績だろう。
 
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