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【ナ・リーグ優勝決定シリーズ展望】好投手が投げ合う第2戦の勝敗が明暗を分ける? ベッツとアクーニャJr.の“1番対決”にも注目

宇根夏樹

2020.10.12

若くして“プレーオフ男”に名乗りを上げたアンダーソン(左)と、“逆プレーオフ男”の汚名を晴らしつつあるカーショウ(右)。ルーキーとベテランの対照的な好投手が第2戦で対決する。(C)Getty Images

▼両チームともに投手陣が好調。カギを握るのは第2戦の勝敗?
 両軍ともにワイルドカード・シリーズ、地区シリーズをスウィープで勝ち上がり、いまだ負けなし。目につくのは投手陣の快投で、1試合の平均失点はドジャースが2.2点、ブレーブスは1.0点に抑えている。特にドジャースは第2戦先発予定のクレイトン・カーショウの好投が心強い。ここまで2先発で2勝、防御率1.93。これだけでポストシーズンの弱さを払拭したとするのは早計かもしれないが、カーショウはブレーブスに圧倒的な強さを誇る。2013年以降、レギュラーシーズンとポストシーズンの計10試合に先発して7勝0敗、防御率1.07だ。だが、カーショウを迎え撃つブレーブスの先発イアン・アンダーソンも、ルーキーながらここまで2先発いずれも無失点と好投。緊迫した投手戦が予想される第2戦の勝敗がシリーズのカギになりそうだ。

▼リードオフマンの2人が打線に"点火"できるか
 もっとも、必ずしも投手戦が続くとは限らない。両チームとも強打者が揃っており、これまでの5試合の平均得点はドジャースが6.0点、ブレーブスも4.8点だ。1番打者のムーキー・ベッツ(ドジャース)とロナルド・アクーニャJr.(ブレーブス)が点火プラグとしてスパークすれば、打線全体に火がつく。ドジャースは地区シリーズ第3戦の3回と9回に、どちらもベッツの四球からそれぞれ4得点以上を挙げている。また、アクーニャJr.も地区シリーズでの2度の大量得点の契機となるなど、テーブルセッターの役割を存分に果たしている。
 
▼"中立地"となる開催球場での経験ならば……
 舞台となるグローブライフ・フィールドも、勝敗を分ける要因となり得る。レンジャーズの本拠地であるこの球場は、今年オープンしたばかり。ブレーブスがプレーするのはリーグ優勝決定シリーズが初めてだ。それに対し、ドジャースは8月下旬のレンジャーズ戦3試合に加えて地区シリーズもこの球場で戦い、最初の試合で敗れたのみでその後は5連勝中。マウンドや外野の形状をはじめ、球場の特徴を体感しているのは強みとなる。

▼2人の"ウィル・スミス"対決にもひそかな注目?
 実は、両軍にはそれぞれウィル・スミスという同姓同名の選手が在籍している。ドジャースのスミスは将来を嘱望される若手捕手で、地区シリーズ第3戦では二塁打2本を含む1試合5安打と大活躍。ブレーブスのスミスはベテランのリリーフ左腕で、これまでのプレーオフ4試合では14人に投げ、いまだに一人も出塁させずと完璧な投球を見せている。おそらくどこかで対戦する機会はあるだろうし、それがシリーズの行方を左右する場面になる可能性もゼロではない。ちなみに2人は昨年9月に1度だけ対戦しており、結果はブレーブスのスミスがドジャースのスミスを空振り三振に切って取った。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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