プロ野球

氏原英明のドラフト採点:即戦力左腕2人を獲得した楽天に最高評価。一方、最低評価に甘んじたチームは…?

氏原英明

2020.10.27

4球団で見事、早川を引き当てた楽天の石井一久GM。写真:©NPB/BBM2020

 2020年のドラフト会議が無事に終了。さっそく各球団の指名を採点してみた。去年に比べて差があまり出なかった印象で、各球団が戦略的に考えていたことを感じさせた。

【楽天】 95点
1位:早川隆久(投手/早稲田大)
2位:高田孝一(投手/法政大)
3位:藤井聖(投手/ENEOS)
4位:内間拓馬(投手/亜細亜大)
5位:入江大樹(内野手/仙台育英高)
6位:内星龍(投手/履正社高)

 1位入札で早川を引き当てたのはもちろん、藤井の獲得にも成功して2人の即戦力左腕を射止めた。ライバルのロッテ、西武も同じく左腕不足に喘いでいることを考えると、一手先をいく指名ができたと言える。投手は全体的な枚数も少ないだけに、4人の指名は大きい。一方、下位指名では手薄だった右の内野手を地元の仙台育英から獲得。6位指名の内は隠れた逸材で、山本由伸(オリックス)を彷彿とさせる。完璧に近い指名だった。
 
【日本ハム】 95点
1位:伊藤大海(投手/苫小牧駒澤大)
2位:五十幡亮汰(外野手/中央大)
3位:古川裕大(捕手/上武大)
4位:細川凌平(内野手/智辯和歌山高)
5位:根本悠楓(投手/苫小牧中央高)
6位:今川優馬(外野手/JFE東日本)

 1位指名で大学屈指の右腕を一本釣り。先発・リリーフ両面で期待できる投手を獲得できたことは大いに評価できる。それもチーム初の道産子1位指名を実現させた。2位以降も補強ポイントをしっかり埋めた。中でも、西川遥輝、近藤健介に続く素材が出てこない外野陣の一角に、快足の五十幡を補強できたのは大きい。4位には西川の智辯和歌山の後輩にあたる細川を指名。また、高校生左腕と即戦力のスラッガーとバラエティに富んだ指名でケチのつけようがなかった。

【DeNA】 90点
1位:入江大生(投手/明治大)
2位:牧秀悟(内野手/中央大)
3位:松本隆之介(投手/横浜高)
4位:小深田大地(内野手/履正社高)
5位:池谷蒼大(投手/ヤマハ)
6位:高田琢登(投手/静岡商業高)

 昨年の森敬斗に引き続き一本釣りを成功させた。昨年はやや消極的にも見えただけに、今年は大学生の即戦力右腕の指名に思い切ったことは評価できる。昨年、結果的に森下暢仁(明治大→広島)を指名しなかったことも背景にあったのかもしれない。2位以降も的確だった。牧は外国人に頼りがちな右打者として戦力になるだろう。4位の小深田は甲子園がなかった分、評価は上がらなかったが、確実性の高い中距離打者として打線を引っ張ってくれるはず。入江以外の3投手はいずれも左腕とサウスポー好きは相変わらずだが、高校生2人は長い目で育成、社会人の池谷は即戦力中継ぎとしての強化であれば合点がいく。